まさかの低価格で話題! クラシック・ミニに最新エンジンを積んだリマスタードモデルの全容

1967年スイフチューン・ミニ・マドウィック(Photography:Jayson Fong)



プロファイルのギャップ(ロッカーアームとカムの間)が埋められるようになると、運転しやすい柔軟なエンジンが完成する。1.5レシオのロッカーとL3ヘッド、SW5カムを備える1380ccエンジンは100bhp以上を発揮し、それでいて非常にトルキーだ。SW5の最新版である"07"はロータスエンジニアリングのバルブトレイン・コンピューターソフトウェアを使用してケント・カムズが開発し、CNC(コンピューター数値制御)グラインダーでケントが製作した。誕生してから70年近く経つAシリーズは、30年前、いや20年前ですらこれ以上はチューンナップできない限界に達したと思われていた。だが、進化するテクノロジーは、この年代物の4気筒OHVユニットからほんのわずかだが、効率を高めることを可能にしている。老犬は死なずということだ。

マドウィックの製作に当たってはSW10を使うことから始まった。SW10は3000rpmあたりで目覚め、5000rpmから本領を発揮する。ウェバー45を備えた1380ccユニットでは7000rpmで125bhp、5000rpmで108lb-ft(15kgm)を発揮すると公表されている。スイフチューンで最もパワフルなカムはSW23だ。フォーミュラ・ジュニアや、FIA付則K項に準拠するミニ向けの純然たるレース専用カムで、4000rpmまではおとなしい。しかし1380ccでは7500rpmで最大出力140bhpを発揮する(最大トルクは6000rpm以下で発する)。

絶妙のサスペンション・セッティング
この車のサスペンションはいたってスタンダードだが、長いロアアームを備えることで、フロントが多少ネガティブキャンバーになっている。

「調節式のトラックコントロールアームを使うのであれば、公道にはハードな「ローズ」ジョイントを使わなくてはなりません」とニックはいう。ステアリングレシオは標準で、ステアリングコラムの位置も下げることなく通常の位置のままだ。FIAレーシングカーをモデルにしているため、マドウィックはクーパーSと同じブレーキを採用しているが、このブレーキもなかなかいい。100mph以上からの減速を繰り返しても何の問題もない。

内装は一般的なクーパーとほぼ変わらない。この車にはもともとレカロのバケットシートが2席取り付けられていたが、今はクーパーSのバケットシートにインスパイアされたニュートン・コマーシャル製のリクライナーに変えられ、よりレトロな雰囲気を醸し出す。ただし、マドウィックは注文に合わせて作るオーダーメイド車なので、好きなシートを選ぶことができる。

オーダーメイド、試行錯誤による数々の改良、実質的に完全なる新車、これらを考慮した価格はというと、ベースカーの価格を含めて3万5000ポンドである。これは、非の打ちどころのないオリジナルのクーパーSにつけられる価格の半額を少し上回る金額だ。こき使うにはあまりにも貴重な、とっておきの1台なのである。

1967年スイフチューン・ミニ・マドウィック
エンジン形式:1293cc4気筒、OHV、ツインSUキャブレター
最高出力:98bhp/6000rpm 最大トルク:93lb-ft/4000rpm
トランスミッション:4段マニュアル、前輪駆動 ステアリング:ラック&ピニオン
サスペンション(前):アッパーウィッシュボーン、ローワーコントロールアームズ、
ラバーコーンズ、テレスコピックダンパー
サスペンション(後):トレーリングアームズ、ラバーコーンズ、テレスコピックダンパー
ブレーキ:(前)ディスク、(後)ドラム
車重:651kg 最高速度:119mph(約191km/h、6500rpmでの理論値)

編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation:Kazuhiko ITO(Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:渡辺千香子(CK Transcreations Ltd.) Translation:Chikako WATANABE(CK Transcreations Ltd.) Words:Paul Hardiman Photography:Jayson Fong 取材協力:スイフチューン(www.swiftune.com)

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