288GTOとF40をつなぐ「幻の架け橋」

Photography:Phil Ward



288GTOのスタイリングを担当したのはレオナルド・フィオラヴァンティ。1972年にピニンファリーナのデザイン・ディレクターに就任した彼は、同じ時期にデイトナや308GTBなどの名作を手がけてきたのだから、この人選は順当なものだったといえる。

「そのアイデアはシンプルなものです」とフィオラヴァンティは語る。「308GTBを進化させてレースにも使えるパフォーマンスを与える。ただそれだけです」 GTOのベースとされたのは、1976年に発表されたアルミボディの308GTB4コンセプトカー。フィオラヴァンティらは、これをもとにしてまずグループ4レーサーを作り上げた。



「デザインができあがったところ
でレース部門に手渡しましたが、実際に参戦することはとうとうありませんでした。ただし、フェラーリはこれをいたく気に入ってくれて、グループBが発表されたときに改めてその制作を依頼してきました」

288GTOの開発中、フィオラヴァンティは月に2、3日ほどマラネロを訪れたが、そこではできるだけ既存のパーツを用いるようにと指示されたという。「メカニックがコンポーネンツを組み立てて、そこにボディをかぶせる。そんな形で作業は進んでいきました」

彼がこだわった部分がひとつだけある。「後輪の後ろに3本のアウトレットをつけました。エンジンの搭載位置は異なりますが、スリットの角度をオリジナルのGTOとあわせることで私の思いを表現したのです」ここにもヘリテージがある。

編集翻訳:大谷 達也 Transcreation:Tatsuya OTANI Words:Tony Dron 

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