南極から 生還したソリがオークションに

Bonhams

1907~09年のニムロッド遠征で、アーネスト・シャクルトンとその探検隊は、エレバス山の登頂に成功したほか、地磁気の極である南磁極に到達。また、それまでの探検隊の中で地理上の南極点に最も近い地点にまで達した。

これほどの成果を上げた遠征だが、実は資金難に苦しみ、準備期間も短かった。シャクルトンには先見の明があったのか単に無謀だったのか、5頭のポニーと様々な装備品を船から降ろして、代わりに最新の自動車アロル-ジョンストン12/15hpを積み込んだ。これには隊員も驚いたに違いない。

この車を提供したのは、ニムロッド遠征の後援者で自身もアロル- ジョンストンを所有するウィリアム・ベアドモアだった。エンジンは空冷式だったが、極地ではオイルが凍結したほか、細い車輪では雪の中を走行できず、役には立たなかった。"全速力で南極点へ"というシャクルトンの目論見は露と消え、結局、連れていった10頭のポニーとL H ハーゲン社製の木製のソリに頼ることとなった。

ポニーも寒さに倒れ、クレバスに落ちたり銃殺されたりした。しかし、この長さ11フィートのソリは無事に遠征を乗り切り、医師のエリック・マーシャルが国に持ち帰った。そのソリが、2月6日にロンドンで行われたボナムスのオークションに登場。落札価格は10万ポンドに達した。

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo. ) Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation:Megumi KINOSHITA

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