英国の風格を賢く買うためにおすすめの1台│ベントレー Rタイプスポーツサルーン

Photography: Mark Dixon



実はこのRタイプには、深窓の令嬢のように小さくおてんばな秘密がある。スプリットボンネットの右側を開けるとSUツインキャブレーターとエンジンブロックのほとんどを覆う黒の焼付け塗装。全てが正しく揃っている。しかし反対側のボンネットを開けると現れる、とてもスポーティなエクゾーストマニフォールドが目に入る。

スタンダードのRタイプはたっぷ
り150bhpを発生する4566㏄直列6筒エンジン。コンティネンタルはボアを拡大して172bhpを発生する4887㏄エンジン。そして後継のS1は、このビッグボアの進化型6ポートヘッド仕様で200bhpとなるが、取材したこの個体はS1の200bhpエンジンを搭載している。このためか、左右のフロントシートバックには後席のパッセンジャーのためのグラブハンドルが追加されたが、これはとても役にたつ。 外観は4.5リッターのオリジナルのままだが、大排気量エンジン搭載の所為ばかりではなく、路上でのこれは正に速い。



また高いリアアクス
ルレシオを持ち、これがすばらしい航続距離を実現している。スポーツサルーンというものは信号グランプリのための車ではないけれど、ちょっといたずらしてみようと思うなら、少しガスをあたえただけで平然とすっ飛んでいく。クルージングは風切り音が顕著でそう静かとはいえないが、伝説の高額車コンティネンタルほどではない。

1925年のファンタムから続くメカニカルサーボアシストのドラムブレーキは著しく有効で、たとえコンティネンタルより180kgほど重く、ステアリングは多少ダルでも、ドライバーは気にしないだろうことは確実だ。

普段は気取らずチャーミングでエレガント。しかしその気になればかなりおてんば、かなり楽しい。冷静に考えるなら、賢い車選びだ。

編集翻訳:小石原 耕作 Transcreation: Kosaku KOISHIHARA Words: Robert Coucher 

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

RANKING人気の記事