もっとも速く、もっとも美しい|ベントレーにおける「最良の答え」を示した伝説のモデルとは?

1953年ベントレーRタイプ コンチネンタル ファストバック(Photography:Charlie Magee)



「今日、車のデザインは複雑なシェイプとラインの組み合わせが主流になっています。それで顧客の興味、関心を引こうというわけです。ですが、彼らの興味はすぐに冷めてしまいます。問題はどこまで顧客の関心を引っ張れるかということですね。よいデザインとは、細部で凝っているけれど全体で見るとシンプル、そういう方向です。もしあなたが2本のラインと面で1台の車をデザインできるなら、その車は未来永劫、傑作と呼ばれるものになるでしょう。それに近いのがポルシェ911です。911はいつの時代も満足させてくれます。10年たっても満足感が失せることはありません。そういう車は家族の一部分になって、次の世代にも受け継がれていくものなのです」

Rタイプ・ファストバックはロールス・ロイスがベントレーの親会社だった時代に設計されたが、ジーラフはロールスとうまくブランド分けされていたことが、将来にわたってベントレーらしさを作り上げたことに役立ったと信じている。

「ベントレーらしいデザイン・エッセンスは変わらずにこれからも続いていくでしょう。高級車の姿を頭に描きながら、片方ではスーパースポーツカーを、他方ではラクシュリーカーをそれぞれ横目で見ながら形作る、そうした手法で築きあげたパフォーマンスとラクシュリーの融合は、ベントレーをロールス・ロイスとはまったく異なったポジションに就かせることに成功しました。Rタイプ・コンチネンタルにはこうした要素がすべて含まれています。もちろんエレガンスもね。ベントレーを語るとき、エレガンスの要素も絶対に欠かせてはならないものなのです」

ほどよい上質感とスポーティーが両立した車
ジーラフとの対談はこれくらいにして、車を見ていこう。まずはエンジンから。ボンネットの下には7ベアリングの直列6気筒エンジンが収まっている。フードは左右分割式なので、両サイドからたっぷりエンジンが眺められ、ツインのSUキャブレターに装着される磨き上げられたトランペットやシルクのようにきめ細かい黒塗装のロッカーカバーをたっぷり拝むことができる。それだけでこの車の能力の一端がうかがえる。ボディ側面に目をやれば、流れるようなフェンダーライン、流線型に整えられたリアホイールまわり、真鍮やクロームでほどよくちりばめられた品のいい装飾などが心を奪う。今回ご紹介した1953年製モデルは2001年からベントレー自身が所有しており、よごれひとつない良好なコンディションを保ちながら、世界中のこのての車を対象にしたラリーにいつでも参加できるよう完全な整備がなされている。

編集翻訳:尾澤英彦 Transcreation:Hidehiko OZAWA Words:Glen Waddington Photography:Charlie Magee

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