ジャック・バークレーの90年│ベントレーボーイズ、シャンパン、セレブリティに美女

Photography:Martyn Goddard Archive material: Jack Barclay



世界は変貌を遂げ、JB(ジャック・バークレー)の顧客は、上流階級から国際的なジェットセッターに変貌を遂げた。ジャックは1967年に引退し、翌年7月、68歳の生涯を閉じた。今や世界的に有名になったJBは、いくつかのオーナーを経て2000年に世界最大のRR、ベントレーのディーラー、HRオーウェンが入手した。

1990年代にJB社長の座にあったグレエム・ハントは、当時を回想してこう語っている。

「ジャックは極めて高い目標を掲げていました。その頃、社
内には10名ほどのセールスマンがいて、それぞれ独立したオフィスが与えられていて、朝9時5分前きっかりに始まるジャックの厳格なミーティングを続けていました。そこでは、皆が各自の業績を発表し、それぞれがフォローアップを行ったのです」

「ほとんどのセールスマンたちは、実際はオフィスに通って
くる必要はなかったのですが、そこは世界一素晴らしい車業界の仕事場でした。彼らの顧客ファイルは壮観なものでしたが、それにも関わらず、ミーティングに3回遅れると、誰であっても追い出されたものです」



「役員会議室にはミニバーがありましたが、それはほとんど
顧客のためのもので、JBはまさにクラブでした。それは今も変わっていません。顧客は何十年にも亘って私達から車を買い、多くの場合、子供や孫にも継承していきました。爽やかなランチやディナーの後で、新車代金に当てる白紙の小切手がテーブルに残されていたこともありました」

「JBは、上流階級のカントリークラブの雰囲気を持ってい
たかもしれません。控えめで実務的だったということです。この社風が顧客の信頼に繫がっていたのです。これこそが、現在もなお、RRとベントレーの最も重要なディーラーとして存在している理由だと思っています」

現在、旧来のJBのショウルームに隣接して、東側のブルトン通り側にブガッティのショウルームを新設し、創立者は「若い人によって営まれる旧い事業」の始まりに未来の姿を見ることだろう。

次世代のJBを代表するのは、ジェネラルマネジャーのマーク・ブラウンだ。「JBは常に伝統的であったが、同時に現代的でもあります。顧客は若返り、販売する車自体も技術によって進化し続けています。世界で最良の車を、最も選択眼のある顧客に向けて『サービスは販売に先んじる』のスローガンのもとで販売し、また引き取りも行います」

「90周年記念として、この歴史あるすばらしいショールー
ムを私たちの歴史、現代性、および未来を反映させながら建て替えます。役員会議室はウッドパネルとクラブのような雰囲気で1920年代のJB創業期を反映します」

階下の展示フロアは1950年代の変換の時代をイメージし、メインショールームでは時代の最先端を現す。
「もちろん、現在の素晴らしいファサードは今のまま残し、重く重厚なダブルドアも多少の調整を加えてそのまま使用します。私たちは、変えることもできましたが、私はいつものやり方が好きだったのです」

編集翻訳:小石原耕作 Transcreation: Kosaku KOISHIHARA (Ursus Page Makers) Words: Robert Coucher 

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