ミッレミリアの常連│フェラーリ最初の4気筒スポーツレーサー

RM Sotheby's

この1953年フェラーリ625TF(タルガフローリオ)は元ワークスカーで、希少性でも歴史的意味合いでも極めて重要な1台だ。3台しか製造されなかった(スパイダー2台とクーペ1台)のみならず、F1用の4気筒エンジンを移植したクローズドホイールのスポーツレーサーは、マラネロにとって初の試みだった。その上、著名なドライバーとのゆかりも華を添えている。

625TFの最初の2レースをドライブしたのは、マイク・ホーソーンとウンベルト・マリオーリだ。興味深いヒストリーはそれだけに留まらない。レースには出走しなかったものの"パンパス・ブル"ことホセ・フロイラン・ゴンザレスが所有した時期もあった。オリジナルはウェバー製50キャブレターを2基備える2.5リッターの4気筒フェラーリエンジンだったが、その後、ヴィニャーレボディに穴をあけてリンカーンV12エンジンに換装された。



初レースは1953年6月29日のモンツァ1000kmで、"ファーナム・フライヤー"ことホーソーンのドライブにより4位で完走した。

2週間後のコッパ・ドーロ・デレ・ドロミーテ
ィでは、マリオーリがドライブして3位フィニッシュを飾っている。 ワークスとしての参戦はこの2回のみで、大西洋を渡って南米で5年のキャリアを送った。Barchetta.ccによると、このシャシーナンバー0304TFは、アルゼンチンのルイス・ミランが購入して多くのレースに出走したあと、1955年にゴンザレスの手に渡った。その後、ブラジルのセルス・ララ・バルベリスが所有し、この間にリンカーン・エンジンに換装されたと見られている。レース活動も活発で重要なヒストリーを持つ車にもかかわらず、足取りはしばらく途絶えたが、1974年にフランコ・ロンバルディが、フェラーリ・エンジンを失ったこの車をナポリの廃車置き場で発見した。

レストアされ、正規のエンジンを取り戻した625TF は、1980年代中頃には復活版ミッレミリアの常連となっていた。そして1988年にジュネーヴのオークションに出品され、たった50万ドル足らずで落札された。だが、今回はそうはいかない。落札価格は400万ポンド(約5億8400万円)を超える額だった。

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation: Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation: Megumi KINOSHITA

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