「まともな考え方ではとてもやっていけない」│ミラノが生んだ芸術 ザガートが選ぶトップ10

Portrait:Mark Dixon



1929年アルファロメオ6C 1750GSザガート



アルファロメオとザガートの関係はずっと昔まで遡る。これは祖父ウーゴのコーチビルダーとしての評判を確立した重要な車だ。タツィオ・ヌヴォラーリが駆ったザガートボディのグランスポルトは1930年のミッレミリアを制した。レース用でありながらエレガントで非の打ち所がないプロポーションを持つこのアルファは、ザガートの歴史に残る傑作モデルだ。


1952年フィアット8V



レースでの活躍だけでなくビジネスとしても成功した"オット・ヴ" を外すわけにはいかない。第二次大戦の爆撃で壊滅したザガートの再建に大いに貢献したという点でも重要であり、さらに父親がこの車でチャンピオンになったことでも私たちには忘れられない車だ。


1992年ランチア・ハイエナ



私が自分自身で全体を手掛けた最初のプロジェクトがハイエナだ。当時のランチアはラリーの活躍で名高く、そこでデルタ・インテグラーレをベースにしたクーペを作ろうとした。残念ながら色々な理由でランチアというよりフィアットの支援を受けられなくなり、わずか24台を自分たちで生産しただけだったが、コンパクトな4WDのGTというコンセプトは間違っていなかったと思う。それはアウディTTを見れば明らかだ。まったく残念なことにランチアは今や瀕死のブランドになってしまった。


1996年ザガート・ラプター



この車は当時インドネシア資本の傘下にあったランボルギーニのボス、マイク・キンバリーの要請を受けてわずか4カ月で作られた。ディアブロをベースにしていたが、カーボンファイバーボディのおかげでずっと軽かった。これを基にディアブロの次期モデルを生産するはずだったが、この"プロジェクト117" は契約書のサイン目前でご破算になってしまった。ランボルギーニを買収したアウディが、すべて自分たちでやることに決めたからだ。


1959年アルファロメオ・ジュリエッタSZ


この時代のアルファ・ザガートの中から一台を選ぶのは難しい。だがオリジナルの丸いテールのSZがやはり、コーダ・トロンカ・モデルやTZ1/2よりもキュートでセクシーだと思う。ご存知のようにコンパクトカーを形作るのはさらに難しいが、SZのプロポーションは、サイズを問わず、この時代のどの車にも負けていない。しかもアバルトと同じようにスタイルだけでなく、実は室内も想像するよりずっと広い。


編集翻訳:高平 高輝 Transcreation:Koki TAKAHIRA Words:Richard Heseltine 

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