忘れられた「史上最高のフォード」の1台とは?

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インターネットは便利なもので、あらゆる情報が手に入る。しかし、無駄な情報に気を取られて仕事がおろそかになることも多い。

特に危険なのが"○○トップ10"といったリストだ。「最も偉大な将軍」「世界最大の洞窟」「最も危険なチーズ」等々、枚挙に暇がない。先日は「史上最高のフォード」というリストを見かけた。似たようなリストは多いが、いつも
忘れられているのがコメートだ。

コメートCOMÈTEを構想したのはデトロイトの本社ではない。アメリカのボスにお伺いを立てずにフランスの子会社フォードSAF が生み出したモデルだ。主導した社長のフランソワ・ルイドゥは、この高級車の製造を、のちにファセル・ヴェガを立ち上げるジャン・ダニノに依頼した。シムカでのダニノの仕事ぶりを評価していたからだ。

こうして、スタビリメンティ・ファリーナのデザインを元に、美しくすっきりとしたボディが誕生する。それを架装する短いシャシーやメカニカルコンポーネントは、フォード・ヴェデットがベースだった。したがって、当初は特徴的なサウンドの2158ccフラットヘッドV8エンジンを搭載していた。

写真の1952年製コメートは、レストア済みでエンジンは新しいものに換装されている。今年初頭にフランスの高名なエンスージアストが入手したが、残念ながらドライブを楽しむ前に亡くなった。「自分への最後の贈り物」にこの車を選んだのはさすがだ。コメート以上に所有したいと思うフォードはそうはない。思えば、比較的希少なコメートがリストを作る人たちの目を逃れていることに感謝すべきなのだろう。

「史上最高のフォード」に名を連ねていたら、
推定落札価格も4万5000~6万ユーロでは済まなかったはずだ。

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation:Kazuhiko ITO(Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation: Megumi KINOSHITA

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