3年間走っていないブガッティEB110GT│推定価格の2倍で落札される

RM Sotheby's

「私は中途半端な収集はしなかった。世の中の葉巻で私の手を逃れたものはない」

こう言ったのは、ハードボイルド映画のギャング役で知られる名優エドワード・G・ロビンソンだ。この言葉を思い出したのは、RMサザビーズのオークション「ドゥエミラ・ルオーテ」のカタログをめくっているときだった。このイベントに出品された数々の品々は、すべてたったひとりの男が収集したものなのだ。

とはいえ、コレクションはすでに元オーナーの所有物ではなくなっていた。そのビジネスにイタリア当局のメスが入り、すべて差し押さえられて、以来ずっと保管されていたのである。

コレクションは車に限らず、バイクや自転車、ペダルカー、ボート、果てはボブスレーまでを含む膨大なもので、その飽くなき欲求には驚嘆するばかりだ。

したがって出品内容も、最新の小型車からクラシックスーパーカー、水上飛行機からシャフトドライブの自転車まで、実に多彩だった。元オーナーは、運転するもの、乗るものなら何でも欲しがったようだ。決して目の肥えたコレクターとはいえないが、まったくセンスがなかったわけでもない。コレクションの中でも質の高いものには、トップクラスの品が揃っていた。

同オークションの目玉となったのがアロイボディの1966年フェラーリ275 GTB/6だった。ある美しいマシンにも注目が集まった。1990年代初頭のブランド復活時に139 台製造されたブガッティEB110GTだ。

この車は1994年製で、エレクトリックブルーのボディにインテリアはグレーのレザー。非常にきれいな印象なので、一部の車より行き届いたメインテナンスを受けていたのだろう(控えめな価格の車の中には、購入した途端に忘れ去られたのではないかと思われるものもある)。

ただし、前述の通り、差し押さえ以降、まったく走行していないので、全体に整備を受ける必要はある。それが済めば、クアッドターボ搭載の3.5リッターV12エンジンを思う存分楽しめるだろう。

コレクションはすべて最低価格の設定なしでオークションに掛けられた。EB110の推定落札価格は27万5000~32万5000ユーロだったが、61万6000ユーロと高値がついた。

編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation:Megumi KINOSHITA

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