メーカーでモディファイされた本格的なドライビングマシンのジャガー

Mother collectables

伝統を重んじるジェントルマンの中には、XK150を安楽なジャガー・スポーツカーだと考える人もいる。「XK120のような本物のスポーツカーと違って、重くてのっそりとしたクルーザーだ」というのだ。だが、そうした純粋主義者であっても、この特別なXK150については本格的なドライビングマシンだと認めざるを得ないだろう。

3.4S仕様だったこのXK150を新車で購入したのは、アンソニー・ダベンポートという人物で、さっそく国内レースでその限界を試し始めた。3.4Sは、『Motor』誌が行ったその年のロードテストで132mph(212.4km/h)を記録している。それでも飽き足らなかったダベンポートは、車をブラウンズレーンにあったジャガー・コンペティション部門に持ち込んで、エンジンを3.8リッターにボアアップした。また、メインテナンスも同部門に委託していた。

熱心にスピードを追求していたダベンポートは、Eタイプが登場すると真っ先に購入した。正確には、シリーズ1 FHCの2台目、シャシーナンバー86002だ(ちなみに、のちにこの車はEタイプ・レジスター会長のジョン・バートンの手に渡った。1980年代初頭に、牧草地の生け垣の穴を塞ぐために野晒しにされているところを見つけて購入したという)。

ダベンポートの依頼で、チューンアップしたXK150のエンジンと、Eタイプの3.8リッター直列6気筒エンジンとが交換され、2台とも現在に至るまでそのままだ。しかし、パフォーマンスは大幅に引き上げられており、この車に搭載されているEタイプエンジンは、当初の265bhpから320bhpにまで向上している。

ブレーキもエンジンパワーに見合うものにアップグレードされており、ロールケージやアフターマーケットのパワーステアリングを備え、レースにも出走できる状態だ。メカニカル面だけでなく、外観や内装も現在のオーナーが手を入れており、アストンマーティン・グリーンのボディもライトグリーンのインテリアも抜群のコンディションに見える。

このように、費用を惜しまぬケアを受けたばかりであり、メーカーでモディファイされためずらしいヒストリーを持つ上、最初期のEタイプエンジンを搭載するので、価格は市場に出ているXK150の中でも高額な17万ポンドだ。しかし、販売店へ赴いて試乗してみれば、2台とない車だと納得できるだろう。

編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation:Megumi KINOSHITA

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