オリジナルと改造車のどちらがよいのか?2台のアストンマーティンDB4を実際に走らせて比較

Photography:Matthew Howell



私自身のウォーミングアップを兼ねて、まずはスタンダードのシリーズ5から乗り始めた。この1962年式の車はマーセル・ソントロップが所有している。右ハンドル仕様で、イギリスで販売されたあと、1967年にオランダへと渡り、ここ30年は現在の地に腰を落ち着けている。ヘッドライトは、シリーズ5 では一般的なDB5のようなカバーされたタイプでなく、剥き出しのタイプでオーダーされた。

マーセルはこの車に8000ユーロを支払ったという。「GTに1万ポンドを払うこともできたが、それは高すぎるように感じた」と述べている。そして緑がかったメタリックブルーの素晴らしい塗装を除いて、彼自身でボディをレストアした。

オリジナルの室内装は使い込まれた感じがあり、日常生活でも活発に使用されていることを物語る。この車はめずらしくワークス製の電動式ウィンドウを備えている。そしてアストンマーティンの赤いレタリングが入ったモトローラ製のラジオもオリジナルで、スイッチが入っている時には明るく輝く。ただ、ステアリングホイールの木製のリムには工場から出荷された頃の輝きはない。

私はこの30年でマーセル以外にこのDB4をドライブした最初の人間となった。それはまさに特権というべきものだ。エンジンは、排気量がまだ3670㏄の仕様で、S U キャブレターを3 基備え、266bhpの最高出力を発生する。そして伸び伸びとした排気音とともに軽やかに疾走する。ギアシフトは、まさに喜びといえるものだ。

この車は巡航時の静粛性を確保するため、特別にオーバードライ
ブを備えている。ブレーキはしっかりとした踏み込みを必要とするが、充分に仕事を果たす。このような素晴らしい車を気に入らない理由があるだろうか。ならば、ステアリングはどうか?

DB4は一般的に、ステアリングのキャスターが大きいように感じられる。これはセルフセンタリング性がかなり強く、コーナリング時の荷重が増えるにつれて、ステアリング舵角を維持するのに多くの力を必要とするためだ。これは直線路での直進安定性については素晴らしい感触をもたらすいっぽう、中心付近の反応はバネのようで、ラック・ピニオンで期待されるような正確さはない。高速ではそれは驚くほどの重さを必要とし、当然きつい公道では非常に重い。洗練されたデザインとは裏腹に、やはり年代の古い車であることを感じさせる。

さて、今度はEZ パワーステアリングを装備したシリーズ2のDB4に目を向けてみよう。グレーがかった濃いグリーンに塗られた完璧な外観のDB4で、オランダのアストンマーティンのエキスパート、ルトガー・ハウトキャンプが売りに出しているものである。

彼のコレクションは、どんなアストンマーティンの愛好家でも及び腰になる素晴らしいものだ。この車はまず1960年にビーバーブルック卿の手に渡り、その後二度のレストアが行われた(一度目はアストンマーティンのワークショップで実施)。

編集翻訳:工藤 勉 Transcreation:Tsutomu KUDOH Words:John Simister 

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