オリジナルと改造車のどちらがよいのか?2台のアストンマーティンDB4を実際に走らせて比較

Photography:Matthew Howell


 
ほとんど一新された内装はスポーティーで、エアコンを装備し、
非常に洗練されたものとなっている。エンジンは理論的にはGT仕様で、302bhpを発生する。ただ、現在の専門家たちはワークスが発表した数値は40bhp程度誇張されているのではないかと疑っている。このシリーズ2は、ワンピースのリアライト、メッシュのフロントグリル、より大きなボンネット上のエアスクープなどがシリーズ1 から受け継がれており、オーバードライブが備わっていないものの、快活な走りを見せる。1速は50mph近くまで伸び、ブレーキはしっかりとした効きを示す。わずかなストロークでの力強さは、シリーズ5にはないものだ。



この車を動かすには、まずちょっと腕力が必要であるが、ひとたび車庫から出さえすれば、その感覚は劇的に変化する。リラックスした気持ちになり、次の行動への備えが可能となる。
 
スピードが上がるにつれて、ステアリングは重くなるが、あなた
が予想しているほどではない。それは、快調に走っている時でも、車の力強さに対して実感がともなわないということを意味している。

ステアリングの中心付近にはスポンジーな感じが残っており、コー
ナリング中の荷重の変化も同様だが、ウォームギアにつきまとう鈍感さ、つまりステアリングを操作するというより操作される感じが、瞬間的な反応を隠してしまう。
 
さて、最大の疑問、EZのパワーステアリングはDB4にとって改
良になっているのかという点である。DB4のステアリングにおいて最もありがたくない特徴、つまり駐車時の重さの軽減という点については、何も犠牲になっていないため間違いなく好ましい。 

スピードに乗っている時にメリットがあるかどうかは、主観によっ
て左右される。しかしいえるのはこのパワーステアリングはDB4をより現代的に感じさせてはくれるが、現在の車のような正確さや反応速度はそこには存在しない。なぜなら、ステアリングのレシオとジオメトリーのどちらも変更されていないからだ。言い方を変えれば、スタンダードの特性が持つ味わいは、まだ残されているということだ。 

もし私が運良くDB4のオーナーに収まり、時々それを走らせるこ
とになったら、私はそれをスタンダードのままにしておくだろう。しかし、私は古い車をより多く走らせたいので、このパワーステアリングが備わっていればキーを手にする機会もふえるだろう。ただ、公道でのアシストの量を減らすために、EZに設定の変更を依頼することにはなると思う。

では誰にでも薦めるのか?それはオーナーの好みに行き着くことになる。私としてはEZのシステムを試してみることを強く勧めるが、よく使い込まれた、徹底的なレストアが施されたオリジナルのDB4が大きな喜びをもたらすものであることは否定しない。たとえ、腕の筋肉がはちきれそうになってもである。

編集翻訳:工藤 勉 Transcreation:Tsutomu KUDOH Words:John Simister 

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

RANKING人気の記事