奇抜に見える正統派│デザイン言語をザガート流に復刻した、本流のシューティングブレーク

Photography:Dean Smith


 
ヴィラージュ・シューティングブレーク・ザガートを見ると、ヘッ
ドライト一体型のフロントグリルや思い切りよく裁ち落とされたかのようなリアのデザインはもちろん、物理的な大きさにも圧倒される。ベースのヴィラージュに比べて全長で130㎜長く、全幅で6㎜広く、全高は同じだ。オリジナルが持つワイド&ローというスポーツカーデザインの法則は、ステーションワゴンになって受け継がれた。いや、むしろ強調されているかもしれない。
 
美しいシューティングブレークを造る際には、クーペをベー
スとすることが伝統だが、ザガートがこれを再現したことでプロポーションは、ただただ美しい。V12エンジンが収まるフロントは全長の比して長く、リアエンドにかけて緩やかにルーフラインが弧を描く。二名分の後席が追加され、さらに驚くほど広い荷室が与えられている。最近でこそ「シューティングブレーク」という単語がもてはやされてきているが、セダンよりクーペをベースに造られたもののほうが、しっくりする。ルーフの"ダブルバブル"は、ザガートのトレードマークのようなもので、絵画に画家のサインが添えられるのと同じだ。


 
ザガートのデザイン部門を率いる原田則彦、ならびにステフ
ァン・シュヴァーツの公式見解は、「1980年代のV8ヴァンテージやヴォランテからインスパイアされたデザイン言語を現代風に解釈したうえで、ザガートとアストンマーティンのエッセンスを大切にした」というものだ。一見、奇抜に見えるデザインではあっても、アストンマーティンの車であることは一目瞭然。

ボディに刻まれたショルダーライン、フロントやリアのランプ類、
エグゾーストパイプエンド、どれをとっても随所にザガートの個性が散見される。
 
この美しいボディの中身はヴィラージュのままなので、アストン・サービス・プログラムが適用され、新車保証も付与
れる。若干ながらボディの重量は増加したが、5.9 リッターV12エンジンの最高出力は497psもあるので必要にして充分だ。ちなみにヴィラージュは0-60mph加速を4.5秒でこなし、最高速度190mph(306㎞/h)まで美しいエグゾーストノートを奏でる。シューティングブレークの性能は、想像に難しくあるまい。

編集翻訳:古賀 貴司(自動車王国) Transcreation:Takashi KOGA(carkingdom) Words:David Vivian 

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