生誕100周年アレックス・モールトン博士│モールトン一族のお屋敷を訪問

Photography and Words:Tomonari SAKURAI

2020年のアレックス・モールトン博士生誕100周年を控え、英国にあるモールトン一族のお屋敷を訪問した。"The Hall "に遺された、モールトン・ファミリーの歴史を紹介しよう。

日本でも多くのファン魅了している自転車に"モールトン"がある。これを手掛けるモールトン・バイスクル・カンパニーは、英国、バースにほど近い小さな街、ブラッドフォード・オン・エイヴォンにある。


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その特徴的な小径ホイールは空力特性を考慮したものであり、剛性を高めたフレーム、そしてペダルを漕ぐ力を最大限に後輪に伝えるために備えられたラバーコーン・サスペンションなど、たっぷりとアレックス・モールトン博士のアイデアが盛り込まれている。
 
アレックス・モールトン博士の生誕100 周年を来年2020 年に控え、モールトン一族の屋敷である" The Hall "を訪れた。この荘厳な屋敷で製作されているモールトンの自転車には、"お城製"という称号が与えられる。"The Hall"には、1900 年のパリ万博ではセーヌ川のほとりに移設して展示され、再びこの場所に戻ってきたという歴史が刻まれている。
 
アレックス・モールトン博士の曾祖父、ステファン・モールトンが19世紀の半ばにチャールズ・グッドイヤーと共に帰国したことがきっかけとなり、英国に初めてゴムの精製法がもたらされた。その後、ステファンは、ゴムを製造する工場とともに、このルネサンス様式の屋敷を手に入れた。荒れ果て、廃墟に近い状態で放置されていたというが、ステファンは家族のためにと修復を行い、現在の状態に完成させた。それが、今回訪問したこの"The Hall"である。


 
歴史的建造物を維持保護するために"TheAlex Moulton Charitable Trust" として保護されている。"The Hall"には、『大英帝国勲章を授かったエンジニアの館』という建屋もあり、その中にはモールトン一族の、特にゴムに関する技術製品に関わった貴重な資料が展示されている。一部は当時のままの品々が並べられており、"モールトニア" には聖地となっている。
 
ステファンの没後、息子(アレックス博士の祖父)であるジョン・モールトンが、ジョージ・スペンサーとともに、スペンサー・モールトン・ラバー社に発展させた。同名でその息子(アレックス博士の父)であるジョン・モールトンの三番目の子として、アレックス・モールトン博士が1920年4月9日に誕生した。三代にわたってゴムに関わってきたモールトン一家の家系が繫がった。

写真・文:櫻井朋成 Photography and Words:Tomonari SAKURAI

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