50年以上アストンマーティンDB6ヴァンテージに乗る続ける人物の物語

Photography: Tim Andrew

マイケル・パイは1966年に購入したDB6ヴァンテージを50年以上使い続けている。これはひとりのオーナーとそのDB6の物語である。

アストンマーティン・オーナーズクラブの記録によれば、ワンオーナーのDB6は世界に3台しかないのだとマイケル・パイが教えてくれた。「1台は日本にある。もう1台はチャールズ皇太子のマークⅡヴォランテ。そして私の車だよ」

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マイケルは1966年11月にDB6を購入した。自宅近くのショールームにふらりと入ったのがきっかけだ。「当時アストンは苦しい時期で、在庫を見てみませんかと誘われたんだよ。次の週に倉庫へ行くと、かなりの数があった。でも、このDB6を目にした途端、心は決まった。ひと目惚れさ」
 
3台あったDB5を破格の安値で提案されたが、マイケルの心は揺らがなかった。「若かったからね。最新モデルがほしい。DB5は1年前のモデルだった。それに、私はDB6のカムテールが気に入ったんだよ」
 
ファクトリーを出たときの仕様書を興味深く見せてもらった。タイヤはエイヴォンのターボスピードGT。コノリー社のヴォーモル・レザーは「ナチュラル」とある。「非標準装備」には、ヴァンテージエンジン、クロームワイヤーホイール、3枚羽のスピナー、アンテナ、そして不凍液7パイント。購入したのは冬が間近に迫った日だった。


 
DB6を目覚めさせるため、庭を横切って広い木造のガレージに入る。そこには洒落た1964年サンビーム・レイピアもあった。妻のローズマリーの車で、やはり新車で購入したものだ。
 
マイケルはジェンセン・インターセプターも愛用する。「もう84歳だ。年をとると、パワーステアリングやエアコンやオートマチックに魅力を感じるようになるよ。アストンは骨が折れる。マニュアルだし、ステアリングは重い。ドライバーズカーだからね」
 
普段使うのは現代のMG3ハッチバックだ。「慣れるのに時間がかかったよ。いろいろなシステムがあって、ひどく複雑だ。車に命令される。好きにさせてくれと言いたいよ」
 
一家は車を7台所有し、DB6は特別な機会のために取ってある。ローズマリーがナビを務めてヨーロッパ各地も巡った。しかし、車を複数所有してきたので走行距離は少なく、オドメーターは6万2500マイルを指す。
 
4リッターの直列6気筒エンジンが目覚めると、エグゾーストが早朝の光を白く染めた。トリプル・ウェバーが少し咳き込んだが、しばらくすると穏やかなアイドリングに落ち着いた。
 
マイケルが車を運動させるのに使っている道へ向かう。DB6の後ろを別の車で走った私は、最高の角度で鑑賞できた。光がフェンダーを踊り、跳ね上がったテールに集まる。このテールは発売当初こそ物議を醸したが、今ではDB6のシンボルとなっている。
 
マイケルの車への愛情は、50年前に初めて見たときから少しも変わっていない。「私にとっては全アストンの中で最もエレガントな車だよ」

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation: Kazuhiko ITO( Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation: Megumi KINOSHITA Words: Peter Tomalin 

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