8台のポルシェ911とともにその半世紀におよぶ歴史を振り返る旅

Photography:Andy Morgan


 
子供の頃、私が教科書に落書きしていた911が、まさにこれ。おかげで、まだ1度も乗ったことがないのに、3.2 カレラのことだったら何でも知っているような気になっていた。
 
964のパワーステアリングを経験した後で3.2 カレラの"ノンアシスト" を操ると、大きなショックを受けることになる。操舵力が極端に重いだけでなく、ステアリングがブルブルと振動するうえ、フィーリングはほとんど感じられない。しかも、この車で飛ばすには大変な労力が必要になる。リラックスしながら、それでもドライビングの楽しさが味わえる964とは大違いだ。率直にいって、古い911のなかで運転の喜びを味わえなかったモデルは、今回のテストではこの1台だけだった。
 
ボヴィンドンの3.2 カレラに対する評は、簡潔にして的を射たものだった。「3.2 カレラは、おそらく古い911と新しい911をつなぐ架け橋のような役割を演じたモデルであり、この結果、様々な点で妥協を余儀なくされている。グリップレベルは高いが、おかげでコントロール系は軒並み重くなり、ドライビングに関係する様々なインフォメーションはいずれもどこかに姿をくらましてしまった。車単体としてみればまずまずバランスされているのに、ステアリングはあまりに重く、クラッチ操作には苦痛が伴う。正直、この日いちばん落胆したのが、この3.2 カレラだった、ルックスは好きだけれど、好んで運転したいとは思わない」

編集翻訳:大谷 達也  Transcreation: Tatsuya OTANI Words:John Simister 

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