史上最も高い人気を誇ったポルシェ911とは?

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1972年、ポルシェは史上最も高い人気を誇ることとなる911をデビューさせた。それが911カレラ2.7RSである。クラシックカー・ディーラーであるヘクサゴン・クラシックのジョナサン・カイザーはこう話す。「2.7RSの世界的な需要はとてつもなく大きなものです。ついこの間、2.7RSツーリングを45万ポンドで売ったばかりで、それでも標準的な開始価格に過ぎません…」
 
ポルシェのスポーツカーにカレラの名が最初に使
われたのは、1950年代終わりから60年代初めのことだ。カレラは「レース」を意味するスペイン語で、1954年のカレラ・パナメリカーナでポルシェ550がクラス1、2フィニッシュを果たしたことにちなんでいる。RSは、モータースポーツを意味するドイツ語の「Rennsport」から来ている。「カレラRS」というのは、まさに最高の車にふさわしい名前と言える。
 
そもそもRSは、ポルシェのGTレース参戦のため、
ホモロゲーション取得を目的に開発された。それにはロードカーとして500台を製造・販売する必要があった。当初ポルシェAGのマーケティング部は、通常より装備の簡素な911に大枚をはたく者などいないと考え、計画に反対した。しかしありがたいことに、最終決定権を持っていたのはエンジニアとモータースポーツのチームだった。
 
カレラRSは、当時の911Sをベースに、それを大
きくモディファイして誕生した。まず、2.4Sのエンジンを2687ccに拡大。シリンダーが太くなり、ニカシルメッキによって摩擦が減った。出力も、Sの190bhpから210bhpに向上した。
 
しかし、RSを真に生まれ変わらせたのは、パワー
ではなく徹底した軽量化だった。ルーフ、フェンダー、ボンネットはより薄いスチール製になり、窓ガラスも薄いものになった。車内も、後部座席を排除し、フロントは軽量のバケットシートに。ドアパネルもシンプルなものに変わった。
 
ボディは、ホイールアーチにわずかなフレアがつ
き、ダックテールスポイラーをオプションで装備。「Carrera」のサイドデカールも人気のオプションだった。
 
マーケティング部が間違っていたことはすぐ証明
された。RSが1972年9月に発表されると、500台はすぐに完売。そのため、1973年7月まで生産が続けられ、総計1580台が製造された。後期の車には、ボディパネルやガラスが標準仕様のものもあるが、これは軽量なパーツが底をついてしまったための苦肉の策であった。
 
ジョナサン・キーツはこう説明する。「このモデル
の市場は小さく、購入者はスポーツカーに精通しています。ですから、完璧な状態で、ナンバーが合致し、経歴も良いものでなければなりません。価格は今後も上がり続けると思います。」
 
その言葉を裏付けるように、最近のオークション
では2.7RSが140万ドルで落札されている。

編集翻訳:堀江 史朗 Transcreation:Shiro HORIE 原文翻訳:木下 恵 Translation:Megumi KINOSHITA Words:Philip Raby and Robert Coucher

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