機械と対話する│アストンマーティンDBSとスピットファイアを操る人物

Photography:Matthew Howell

アストンマーティンとスーパーマリン・スピットファイアは、イギリスが誇る二つのアイコンであることは間違いない。DBSオーナーであり、スピットファイアの操縦桿も握るイアン・スミスは、両者には共通したものがあるという。

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イアン・スミスの履歴書は世間一般が俗に言う"クール" だ。英国空軍パイロットにはじまり、戦隊長へと昇格後、イラク、ボスニアなどの任務も記されている。英国空軍のアクロバットチームである「レッドアローズ」の一員であり、バトル・オブ・ブリテン記念飛行隊の司令官であり、世界唯一の民間ディスプレイチームで、民間人を乗せて近接編隊飛行を行う航空会社「TheBlades」のパイロットでもある。さらに、大英帝国勲章「MBE( Member of the Most Excellent Order of the British Empire)」を授章している。
 
そうしたスミスが乗る車はDBSであり、背後に写るスピットファイアの操縦桿も握る。「クール」以外、彼をどう評して良いのか分からない。加えて人柄も好印象ときたものだから、凡人である筆者はつい劣等感を抱いてしまう。 

普段はイースタン航空で飛行安全担当官を務めるスミスと待ち合わせたのは、ノース・リンカンシャーにあるハンバーサイド飛行場だった。私たちが到着したとき、スミスは撮影に備えてDBSを洗車中だった。実は、今回の企画はスミスが持ち込んだものだ。



「DBSとスピットファイアを一緒に撮影した写真を飾れれば、誰かに自慢できるじゃないですか」と笑うが、もちろんそれ以上の理由がある。スミスにとってDBSとスピットファイアには共通したものを感じるという。それはアストンマーティンのスローガンにある「power(力), beauty(美) and soul(魂)」だ。彼のように両者を操縦する、数少ない人間にしかわからないことに注目した。

スミスは根っからのブリティッシュ・スポーツカー好きだ。複数のロータスを所有してきたほか、ACコブラのレプリカを自作したこともあるという。2004年、DB9が発表された際、購入することを決めたが、新車では納車までに1年かかると言われて断念。それではと、新車価格よりも高いプレミアムを支払ってまで中古のDB9を手にした。DB9からDB9ヴォランテに乗り換え、DBSにたどり着いたのは今から1年半前のことだった。
 
早朝の太陽光を浴びて佇むDBSは、息を飲むほどの神々しさを放っていた。そのシルエットがスピットファイアのアルミ胴体に映り込むところを見れば、両者の「美について議論の余地はなさそうだ。そして両者には「力」がたっぷりと与えられている。2007年に登場したDBSの5.9リッターV12エンジンは最高出力510bhpを誇る。もっとも、スピットファイアのV12エンジンには敵わないが。


編集翻訳:古賀貴司(自動車王国) Transcreation:Takashi KOGA(Carkingdom) Words:Peter Tomalin 

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