現存1台のType64が8月15日~17日にアメリカのモントレーにて開催されるオークションに出展される。独特な流麗ボディを持つこの車は、ポルシェの第1号車、ポルシェ356が誕生する9年前に製造されたもの。フェルディナント・ポルシェとその息子フェリーが、後に発表するスポーツカーの実証用として日常の足として使用していたという。軽量アルミ合金製のボディの下には、初期の大多数の356と同様に、初期のビートルから流用したドライブトレインとサスペンションを備えている。
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1939年から1940年にかけて3台のTyp64のボディがシュトゥットガルトの北のはずれ、ツッフェンハウゼンのロイターコーチワークによって製作され、この現存している1台は3台目に製造されたものだ。ベルリンからローマへまでの1500Km超を走る長距離レースに参戦するために生まれたことから、ベルリン・ローマカーとも呼ばれる。
1947年にポルシェがピニン・ファリーナにレストアを依頼し、その約1年後には356ロードスター No.1のデモンストレートをType64と共に行った。その際にステアリングを握ったオットー・マテが大いに車を気に入り、購入した。1950年代には数々のレースを楽しみ、彼がこの世を去る1995年まで46年間にも渡り所有していたのだ。その後はベルギ―人のポルシェスペシャリストが購入した。
“Type64無しには、356も550も911も生まれなかったでしょう。ポルシェの歴史をスタートさせた1台です。この車を購入した人物は、フェルディナンドポルシェとフェリーポルシェが座ったシートに座ることができるのです。オーナーになったら、世界中で行われるポルシェのイベントに呼ばれること間違いないでしょう"と、RM サザビーズのカーオークションスペシャリストはコメント。