2017年に岐阜の納屋で見つかった超貴重なホコリまみれのフェラーリ

Images:RM Sotheby’s

近年、倉庫などで忘れ去られた価値あるクラシックカーが発見される"バーンファインド"のニュースをよく耳にする。それを先導したとも言える出来事を覚えているだろうか。2017年、岐阜県の納屋で見つかった1台のフェラーリだ。

これは一見すると埃まみれのみすぼらしいフェラーリ365GTB/4デイトナに見えるが、同車の発見は世界中のコレクターのあいだで大きな話題をとなった。それもそのはずである。これはたった1台だけの特別な車、スカリエッティ製のアルミボディを架装した、ロードゴーイング・デイトナだったのだ。

エンツォ・フェラーリが生んだ最後のフロントエンジン・ベルリネッタ、365 GTB/4。この車が初めてお披露目されたのは、1968 年のパリ・サロンのことだった。フェラーリが創業以来伝統としてきた優美なロングノーズ・ショートデッキ・スタイルを踏襲しつつも、それまでのモデルとは一線を画す、張りのある平面で構成されたモダンな風格を有していた。「デイトナ」は正式名称ではなく、フェラーリが1967 年のデイトナ24 時間レースで圧倒的勝利を飾ったことから自然発生的に生まれた愛称である。労使間のトラブルやフィアットによる買収といった、フェラーリにとっては激動の時代の最中ではあったが、デイトナは全部で1406 台が生産された。


 
そんなデイトナには「特別な6台」が存在する。1400台生産された通常のデイトナはスチール製のボディを採用していたが、その6台だけ、スカリエッティの職人が手掛けたアルミボディが架装されていた。目的は言うまでもなく、軽量化である。フェラーリのカスタマーチームから、ル・マン24 時間レースのGTクラスでポルシェ勢に勝てる車がほしいという強い要望があったことから、デイトナのコンペティションモデルが少数生産され、アルミボディが架装されたのだった。
 
6台作られたアルミボディ・デイトナのうち、5台がレースカーとして仕上げられた。残りの1 台は長い間、行方知らずになっていた。それが、岐阜県の納屋の軒下で見つかり、そのニュースが世界中を駆け巡った。

この車、シャシーナンバー12653は、デイトナとしては30台目に生産された車両で、1969 年に完成した。コンペティションモデルと同様にアルミ製ボディが架装されたが、完全なロードカー仕様で仕立てられた。ボディカラーは人気のロッソ・キアーロ(明るい赤)で塗装され、インテリアはブラックのレザー仕上げ。パワーウィンドウも装備している。
 

文:オクタン日本版編集部 Words:Octane Japan

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