なかなか見ることのない色々なポルシェ│レースカーからロードカーまで

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ポルシェはこれまでに様々なモデルを生み出してきているが、その中でもなかなか見ないモデルをご紹介。



550スパイダー
ポルシェとして初の純レーシングモデルである550スパイダーは、初期のポルシェのラインナップで最も重要なモデルだ。ショールームから乗り出したまま公道を走ってサーキットに向かい、レースで勝つことが可能なパフォーマンスを備えていた。鋼管スペースフレームのミドシップに110bhpを発揮する水平対向4気筒DOHCの1498㏄エンジンを搭載。ボディはアルミニウム製で、徹底した軽量化を図り、車重は590㎏ほどであった。1954年にはメキシコのカレラ・パナメリカーナでクラス優勝を果たすという幸先のいいデビューを果たした。市販が始まると、アメリカ市場では安価で高性能な市販レーシングカーとしてアマチュアドライバーの間で好評を博し、サーキットを席巻。ポルシェの名と哲学を世界に知らしめた。日本で所有されているのは片手に収まるくらいだろうか。



904 GTS
ポルシェが手掛けた純レーシングモデル。当時、FIAのGTクラスにホモロゲーションされるためには、12カ月間に100台以上の生産が義務づけられていた。シャシーは市販車とは無関係のスチール製閉断面ラダーフレーム構造で、そのミドシップに180㎰(または155㎰)を発揮するDOHC水平対向4気筒2リッターのカレラユニットを搭載した。ボディはFRP製で車重は740㎏程度と軽量だった。ポルシェはレースカーに対しても衝突時のドライバー保護に取り組み、ステアリングコラムに2個のユニバーサルジョイントを備えて、衝突時のステアリングによる内蔵への損傷を防いでいた。ワークスチームはもちろん、2万9700ドイツマルクで市販されたことで、プライベートチームが多くの勝利を挙げた。公称値は最高速度が250㎞/h、0-60mph加速は5.5秒。これも、本物は超貴重だ。



914-914/6
ポルシェ初の純ロードモデルとしてミドエンジン・レイアウトを採用した914および914/6は、ポルシェとVWの協力関係によって1969年に新登場した。直線的なデザインが特徴のタルガトップ・ボディは、樹脂製のトップを外せばオープンモデルになり、そのトップはトランク内に収納することができた。914シリーズにはVWエンジンとポルシェ・エンジン搭載モデルの2系統が存在した。VWエンジンの914は、当初、411Eセダンから流用した空冷水平対向4気筒1.7リッターの80bhpユニットを搭載。1973年には、1.8リッターに排気量アップすると同時に、100bhpを発揮する2リッターエンジンを搭載した914/2.0が加わった。ポルシェ製エンジンの914/6は、911Tから流用した110bhpの6気筒ユニットを搭載した。



924
VWグループとの協力関係によって誕生した、ポルシェの名を冠した初めてのフロントエンジンモデル。VWポルシェ914がフェードアウトしてから空席になっていた、安価な価格帯のポルシェとして登場した。もともとポルシェがVWのために設計したものをポルシェ自身が製品化した。アウディ製の1984㏄水冷直列4気筒SOHCエンジンを搭載し、前後軸の重量配分を均等化するためにギアボックスをトランスアクスルに配置、ポルシェの名に相応しい優れたハンドリングを得た。1979年にはターボを備えて170bhpを発揮するエンジンを搭載した924Sを派生した。1981年にはFIAのグループ4に属するレースモデルの924カレラGTが造られた。これは現在ではコレクターズ・アイテムとなっている。



928
1970年代の後半、ポルシェは旧態化が目立つ911の市場を928と924の、大小2種のフロントエンジン車に置き換えようと考えた。924を入門用と位置づけ、1978年に登場した928が上級市場を担う計画だった。230bhpを発揮する新開発の4.5リッター水冷V型8気筒SOHCエンジンをフロントに搭載した。トランスアクスルのリアサスペンションには、コーナリング時にリアのコーナリングフォースを安定させるヴァイザッハ・アクスルを備えた。1980年には4.7リッターから300bhpを発揮する928Sを追加。1985年には1984年にはDOHC化するとともに5.0リッター、292bhpに増強したS2を、1987年には320bhpの928S4を派生、1990年には330bhpの928GT、1992年には5.4リッター340bhpのGTSに発展した。



944
924のコンセプトを発展させた4気筒フロントエンジンモデル。928から派生した(V8の片バンク)2.5リッターのSOHC水冷直列4気筒155bhpエンジンを採用した。特徴は排気量の大きな4気筒の回転をスムーズにすべく、二次振動を相殺させるバランスシャフトを採用したことだ。ボディの基本的な意匠は踏襲しながら、迫力のあるワイドなフェンダーを備えた。1985年には広範囲に改良を加え、220bhpを発揮する944ターボを加えた。1987年にはヘッドをDOHCに改め、994Sを派生した。1989年には944の排気量を2.7ℓに拡大、1989年には944S2を3リッターに拡大して211psに、944ターボは過給圧を上げて250psに増強した。1991年に生産を終え、968に引き継いだ。



968
944の発展型として登場。これが924から始まった4気筒フロントエンジンモデルの最終型となった。スタイリングは944と大きくは変わらないが、フロントまわりはヘッドランプが固定式となり、イメージが大きく変わった。またリアも意匠に小変更が施されている。1992年には待望のカブリオレモデルが追加された。1993年に登場したスパルタンなクラブスポーツは人気のモデルとなっている。ボディカラーにペイントされた"カップ"アロイホイール、カレラRSと同じバケットシート、手動式ウィンドウレギュレーターなどを備え、レーシングムード満載だった。トップスピードは157mph(約250km/h)、0-60mph加速が6.5秒だった。わずかだが、ターボS、ターボRSも存在した。

オクタン日本版編集部

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