カーメンテナンスで大事なこと│異音の原因を突き止める

RM Sotheby's

車は古くなるにつれてノイズも大きくなる。劣化を食い止める対策を取らない限り音は消えない。ドアのシール材が緩んでくれば風切り音が増すし、サスペンションブッシュの硬化や湿気による遮音材の劣化で走行音が大きくなることもある。もっと気がかりなのは、突然、聞いたことのない異音がし始めたときだ。何かが変化した証拠である。
 
気がかりな異音をゴーという低音、ゴンッという衝撃音、ウィーンという高音、カタカタという軽い音に分けて考えよう。最初の2種類は音に加えて振動を感じることがある。まず、速度を上げるとゴーという音がし始める場合。ステアリングやシートから振動を感じるなら、古いタイヤの破損が始まっている可能性がある。スロットルペダルを緩めると音が小さくなるなら、プロペラシャフトやドライブシャフトのジョイントが原因かもしれない。
 
次の曲がり角で異音が大きくなったり消えたりするなら、ホイールのハブベアリングの問題が考えられる。左に問題がある場合、ステアリングを右に切ると左のタイヤに荷重がかかり、摩耗によるガタが消えて音が小さくなる。逆も同様だ。あるいは、エンジンの回転数や負荷によってゴーという音の強弱が変化する場合もある。油圧が少し落ちているなら、クランクシャフトのメインベアリングに問題があるのかもしれない。クランクメタルが破損すると、もっと鋭いノイズになり、油圧の低下に伴って特徴的な打音が発生する。
 
コールドスタート時の打音も似ているが、大幅に穏やかな音で、通常は心配する必要はない。ほかにエンジンの打音はカム山の摩耗でも起きる。油圧タペットを装備するエンジンを始動したときに発生するなら、タペット内へのオイルの充填が遅れているだけかもしれない。音はひどいが数秒で収まるならそれほど心配はいらない。
 
次に衝撃音。バンプを乗り越えたときに足元で硬い金属的な音がする場合は、サスペンションブッシュの破損やボールジョイントの摩耗が疑われる。もっと控えめなゴトゴトという音は、アンチロールバーのブッシュやドロップリンクの不具合、ダンパーの内部バルブやアッパーマウントの破損が考えられる。ウィーンという音がし始めた場合は、ダイナモやオルタネーター、ウォーターポンプ内のベアリングの故障を原因とすることが多い。
 
一方、カタカタという軽い音には様々な原因がある。タペットがカタカタいう場合はオイルのロスが考えられる。突然のオイル漏れを起こした場合、音はどんどんひどくなる。それ以外はたいてい深刻な問題ではないが、イライラさせられるものだ。例えば遮熱板やトリムが緩んでいる場合である。そうした原因を突き止めて音を消すのは、カーメンテナンスの中でもとりわけ面倒な作業だ。

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo. ) Transcreation:Kazuhiko ITO(Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation:Megumi KINOSHITA

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