蘇った最高のアストンマーティンをサーキットで走らせる!

Photography:Dean Smith



たっぷりと長く、スピードも出る、見通しのいいコーナーは、この車の荘厳さを感じるのにもっとも適したポイントである。ちょっと速いかなというくらいのスピードでコーナーに飛び込んでも、狙ったラインどおりに車は進むし、もうすこしスピードを上げて入っても破綻することなく、ニュートラルステアのままきれいな4輪ドリフトを演じてみせるだけだ。対照的にウィルソン・ヘアピンではノーズの重さが露呈され、高速コーナーに比べると動きがすこし鈍くなったように感じられる。ブレーキはよりヘビーになり、スロットルをいっそうアグレッシブに操作することでアンダーステアに打ち勝たなければならない。

これがDB4 GTのタイト・コーナーの攻め方だ。スプリングとダンパーはたとえていうなら現代のFIAヒストリック・レースカーと互して走るようなセッティングではなく、オリジナルの本来の姿を呼び起こすことを第一に考えた設定といえば間違いがない。現在、こうしたジャンルには、現代の改造手法で仕立てた車がいくつか投入されているのだが、なかでもイーグルのロー・ドラッグGT-Eタイプや、アルファホリックのGTA-R(どちらも主張をもった素晴らしい車だ)と比べると、このDB4GTはグリップレベルの面でちょっとばかり古さを感じさせる。固定軸ならではのトラクション性能はとても印象に残るものだが、横方向の動きに関していえば、機構的に進化したジャガーやアルファに対して抑えが効かないのだ。だが、それは目指すところが違うのだからしかたがない。


 
成り立ちとして、DB4 GT にもっとも近い存在といえるのが、ジャガー自身が最近ブラウンズレーンで6 台生産したライトウェイトEタイプだろう。ライトウェイトEタイプと同じく25台が生産される軽量スペックのDB4 GTも、サーキット走行専用車として販売されることになる。また、まったく新しいシャシーを使用していることも、この2 車の共通点だ(イーグルなどは当時のロードカーを改造して仕立てている)。もっとも今回乗った車はあくまでプロトタイプであり、このあと変更が加えられる可能性もなくはないが。

編集翻訳:尾澤英彦 Transcreation:Hidehiko OZAWA Words:Henry Catchpole 

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