"実用性を高める"を実践した真摯な時計

Images:A.LANGE & SÖHNE

高級機械式時計の世界では、メカニズムへの探求心の結果、実用性を見失ってしまうことも少なくない。しかしドイツの最高峰時計ブランド「A.ランゲ&ゾーネ」の進化は、いつだってユーザー目線である。

新作「ツァイトヴェルク・デイト」は、独創的なデジタル表示にカレンダー機構を加えている。新作「ツァイトヴェルク・デイト」は、デジタル表示の機械式時計として、2009 年にデビューした「ツァイトヴェルク」の正常進化モデル。誕生から10 年間で積み上げてきたウォッチメイキングの経験を生かして作ったのは、なんと"カレンダー付きのモデル"だった。しかしこれが、小さな進化だと思ったら大間違いである。



カレンダーは、赤いマーカーが下から透けて見えることで表示する。限られたスペースを最大限活用するために考案されたメカニズムである。
 
そもそも機械式時計というのは、ゼンマイがほどける際に発生する小さなトルクだけを利用して、数百というパーツを寸分の誤差もなく動かし続けなければいけない。そのために針の長さや太さも厳密に計算されているのだが、ツァイトヴェルクは"時"" 10 分"" 1 分"というディスクを、最大で3 枚同時に瞬間的に回転させるという驚異的なメカニズムを採用していた。そこにさらにカレンダーディスクが加わるのだから、トルクのマネージメントは極めて困難になってくるのは当然だ。
 
そこでA.ランゲ&ゾーネの技術者は、まずはムーブメントのロングパワー化に着手。動力ゼンマイを二個使用し、さらにパーツを軽くして動力の伝達効率を高めパワーリザーブを約2倍に延長、さらにはトルクを一定に保つためのメカニズムも組み込んでいる。こういった小さな技術革新の積み重ねによって、トルクの余地をかき集め、ようやくカレンダーディスクを回転できるようになった。つまりA.ランゲ&ゾーネの様々なノウハウの集積から生まれた時計なのだ。


テンプ受けなどに、職人によるハンドワークの彫金が入る。大きなプレートは洋銀を使用しており、酸化することで、徐々に色が深くなっていく。 

派手な時計ではないが、その内部には時計技術が詰まっている。そういう点では、地味というよりは"滋味"。こういった時計を味わうことができるのが、真の時計愛好家なのかもしれない。


ツァイトヴェルク・デイト
使い勝手を高めるために、8時位置にはカレンダーのみ修正できるプッシュボタン、4時位置には時表示のみ修正できるボタンも完備する。
手巻き(Cal.L043.8)、ケース径44.2㎜、
18K ホワイトゴールドケース、反射防止加工サファイアガラス&ケースバック、パワーリザーブ
約72時間、3気圧防水、価格:1065 万9600円(税込予価・7月以降発売予定)

文:篠田哲生 写真:A.ランゲ&ゾーネ Words:Tetsuo SHINODA   問A.ランゲ&ゾーネ TEL:03-4461-8080

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