ブレーキを踏んだら真横を向いた!ランボルギーニ・エスパーダでのゾッとする思い出

1971~74年にイギリス『Motor』誌のロードテスターだったトニー・ドロンが、高速道路で経験した恐ろしい瞬間を振り返る。

1972年に『Motor』で行ったランボルギーニ・エスパーダの最高速テストが私はいまだに忘れられない。舞台はフランスのオートルート。私たちはサービスエリアでオイルなどをチェックしてから、2車線の区間で最高速の計測に臨んだ。計測場所に選んだ1kmの直線に向かって全開で飛ばしている間に、メーカーが謳う250km/hにはとうてい届きそうもないことがはっきりした。水温は上昇していたものの、レッドゾーンよりはるかに下だ。

遠くに追越車線を走るプジョーのサロンが見えたが、計測を終えてからハードブレーキングすれば大丈夫だと私は判断した。助手席の仲間がストップウォッチを止めて「よし!」と言った。ところがブレーキを踏んだ途端、車が鋭く左に曲がり、ガードレールが目の前に来た。あの大きな車が、220km/h超でほぼ真横を向いたのだ。

大きくカウンターステアを当て、ブレーキを離したことで、直後の事故は免れた。だが、プジョーのリアが急速に近づいてきた。プジョーは相変わらず140km/h程度でのんびり走っている。運転手は前かがみの姿勢で、ベレー帽をかぶっていた。「モナミ、どうかミラーを見て慌ててブレーキを踏んだりしないでくれ」と私は祈った。ブレーキを短く踏んではカウンターを当てることを繰り返し、ようやく110km/hまで減速できた。私は両足をペダルから離すと、眠そうなフランス人が、後ろで何が起きていたかも知らずに、徐々に遠のいていくのを呆然と見送った。

ピストンに穴が開いてオイルパンの圧力が上がり、ブリーザーから大量のオイルが吹き出して、右のブレーキが前後ともオイルまみれになっていたのだ。当時ランボルギーニにモータースポーツの経験がないことは、こんなところにも現れていた。後期のエスパーダは格段によい車だと人からは聞いている。

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