ポルシェの進化を如実に物語る4台を一挙に比較!│第二弾 911 2.7 RS

Photography: Charlie Magee

似ても似つかない4台がポルシェの進化を如実に物語っている。ジョン・シミスターが356 4カム、911 2.7 RS、968クラブスポーツ、カレラGTの重要性について解き明かす。 

こに登場するのは4 台のポルシェだが、もっとも新しいものと古い者の間には41 年もの歳月が流れている。40 年といえば、先ごろ70 周年を迎えたポルシェの歴史の半分ほどに相当する。これはちょっとした偶然だが、ポルシェの各時代を象徴する4台は、ときに不可解で、しばしば人々を魅了するシュツットガルト市ツッフェンハウゼン生まれのスポーツカーの特色をよく表しているともいえる。
 
このなかに、ポルシェ史上もっとも多く生産されたモデルや最高の利益をもたらしたモデルは含まれていない。そういう基準であればカイエンやマカンが選ばれたことだろう。私たちが選んだのは、それらとは対照的にもっとも"純粋な"ポルシェで、私たちと同じような感覚を持つファンからもっとも深く敬愛された4台といって間違いない。
 
私たちが追い求めたことは、リア・エンジンだとか、丸みを帯びたスタイリングといったことを越えた領域に存在する、ポルシェの一貫性ともいうべきものである。なるほど、ここに登場するうちの古いほうの2 台は、まさにそういったことを象徴している。うち1 台は、ポルシェが最初に設計したスポーツカーである356シリーズのなかで誰からも愛され、ファン垂涎の1台とされるモデルであり、もう1台はもっとも有名な911である。4カム・エンジンを搭載した1963年製356Bカレラ2と、1973年生まれの911カレラRS 2.7だ。
 
しかし、その後ポルシェは911と決別する道を模索し始める。もはや911は時代遅れで、水冷エンジンをフロントに搭載したモデルにこそ未来はあると考えられたのだ。やがて911は永遠に葬れないことが明らかになるのだが、"新世代ポルシェ"のなかにもファン・トゥ・ドライブなモデルは少なからず存在した。

そのなかでも、本質的な楽しさを追求したロードカーといえば968クラブスポーツを置いてほかにないだろう。今回、登場を願ったのはスピード・イエローにペイントされた1994年モデルだ。興味深いことに、ここで取り上げた4台のなかで、968クラブスポーツだけが"カレラ"の名を与えられていない。
 
その10年後にポルシェが作り上げたのは、ドライバー自らがすべてをコントロールするスーパーカーという意味ではおそらく最後の1 台となったモデルだ。耐久レース参戦の計画が中止となったことをきっかけに誕生したという経緯ゆえに、カレラGTはカーボンモノコックに常識外れの612bhpを生み出すV10エンジンを搭載していた。しかも、ライバルのエンツォフェラーリが2ペダル式のパドルシフトを採用していたにもかかわらず、カレラGTはマニュアル・ギアボックスを搭載。あたりに轟くエンジン・サウンドとウィングを備えたリアエンドを除けば、まるで筋肉増強剤を過剰摂取したボクスターのようでもあった。だが、このモデルこそ、古い時代のポルシェと、ル・マンを制した919 やロードカーの918といったハイブリッド時代のポルシェを結ぶ架け橋だったともいえる。極めてハイテクに見えるカレラGTだが、その実、きわめて自動車らしいモデルこでもあった。そのことは、実際に乗ればわかることだろう。

編集翻訳:大谷達也 Transcreation: Tatsuya OTANI Words: John Simister  Photography: Charlie Magee

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