ポルシェの進化を如実に物語る4台を一挙に比較!│第二弾 911 2.7 RS

Photography: Charlie Magee


 
RS2.7を懸命に走らせていると、1075kg の車重が実際にはその半分ほどしかないのではないかと思えるほどすべてのコントロール系が軽いことに気づく。ステアリングも、特別にクイックということはないものの操舵力は十分に軽く、時に反力を伝えるなどして常にドライバーに話しかけてくるので、いつでもスリップアングルを感じ取ることができる。また、スピードバンプを乗り越える際には、ステアリングが左右に揺り動かされるのをそのままにしておけば、車は自然とまっすぐに走り抜けてくれる。フロントタイヤの荷重がリアに比べて圧倒的に少ないのは明らかだが、それでも2 本の前輪はしっかりと路面を捉え続けるはずだ。
 
では、リアタイヤは? とりわけコーナーの脱出などで車が加速している間は、ボディは後輪のうえにどっしりとしゃがみ込んでいるようなもの。しかも、後輪のトラクションや横グリップを失わせるのは至難の技で、とりわけ暑さの厳しい日にはより難しくなるが、故意にスライドさせようとするなら話は別だ。リアエンジンのレイアウトと高回転で強大なトルクを生み出すエンジンは、まるでスロットル・ペダルで操舵するがごとく、ちょうどいい角度のテールスライドをもたらしてくれる。


 
エンジンが最大トルクを生み出すのは5100rpmと高めだが、有名な「むせび泣くようなサウンド」を4500rpm 付近から奏で始めると同時に、強力な推進力を生み出すようになる。この回転域ではすべての瞬間が官能的で、すべての操作系は極めて正確に作動する。たとえば高いギアでシフトする際には、思ってもみなかったほどの素早さでギアチェンジできることに驚くだろう。推進力、トレース性、グリップ力、そしてサウンドというすべての事象はドライバーを魅了して止まず、それがピレリ製タイヤによってより高い次元に昇華したようだ。とりわけ路面から伝わるハーシュネスが軽いため、RS が備えたロードカーとしての資質がさらに磨かれたように思える。
 
RS2.7 の魅力はそれだけではない。コンパクトで幅の狭いボディと、しっかり高さがあって細いピラーと組み合わされたウィンドウは、すべてを見渡しながら道路の幅をギリギリまで使い切るのに役立つ。今回の試乗コースを最新モデルで飛ばせば、いつミスを犯したとしても不思議ではないが、911RS2.7であればその能力をフルに引き出すことができるはずだ。

編集翻訳:大谷達也 Transcreation: Tatsuya OTANI Words: John Simister  Photography: Charlie Magee

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