ランボルギーニの絶滅危惧種?完璧にレストアされたV12エンジンのオフローダー

Photography Tim Andrew



クラッチが恐ろしく重いという評判だが、実際にはそこまでひどくはなかった。シフトの
動きも少々鈍く、素早い変速は望めない。とはいえ、ステアリングを握った印象はレンジローバー・クラシックによく似ていた。最初は少し鈍重に感じるけれど、自信が増すにつれて思い通りに操縦できることが分かってくる。シートポジションが高く、パワステも効果的なので、すこぶる運転しやすい。

カウンタックと同じ5.2リッターのV12エンジンを搭載するから、パワーに不足はない。加
速も、車重が2.7トンなのでスーパーカー並みとはいえないが、十分パワフルだ。カスタムメイドのツインエグゾーストから放たれる咆哮は神々しいばかり。洗練されたカウンタックのサウンドとは違う、低くたくましい轟音である。なにしろ大型のウェバー・キャブレターを6基も搭載するのだ。



履いているのは325セクションのピレリのスコーピオンである。このタイヤは
探し出すのが非常に困難だった。「ここ数年でLM002を使い始めるオーナーが増えたので、ピレリにとっても再び製造する意味が出てきたんです。以前は新品のタイヤが2200ポンド以上しましたが、今後は600ポンド程度になるでしょう」とグレアムは説明する。

長年、知名度の低かったLM002だが、それも変わりつつあると彼は話す。「少し前までは状態のよいものが2万5000~4万ポンドで買えましたが、今では10万ポンドかそれ以上します。クラシック・ランボルギーニはすべて同様です。V12には独特の魅力がありますが、V12が製造されなくなる日も、そう遠くはありませんよ」

LM002は発売当初から、時流とは無縁の“恐竜”だった。そして今、二酸化炭素の測定器を手にした人間によって絶滅へと追いやられようとしている。私たちは、恐竜が自由に街を闊歩できる最後の貴重な時代を目撃しているのかもしれない。

Words Mark Dixon   抄訳:木下恵

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