ポルシェ911市場の現状と痛い目を見ないために…

Photography: Paul Harmer

「うちのコンテナには、バンパーとホエールテールが山になっている。バックデートした車の残りだ。いい車をバラすのは気がひけるよ」とポール・スティーブンス社のチャーリー・ウィルドレッジは話す。
 
「これからビッグバンパーモデルは復活して、バックデートした車は古くさく見えるようになる気がするね。今、ビッグバンパーモデルにはいい値段がついているが、市場自体は底を打っている状態だ。2万~2万8000ポンドくらいの値で個人的に売りに出されている車でも、ものすごく価値があるように見える。だが、大枚をはたくなら、トップエンドやギアボックスのオーバーホールが済んでいるかを確認することが重要だ。走行距離が短い場合は別だが」
 
ポール・スティーブンスも注意を促す。「そのくらいの値段のものはすべてなにか必要だ。基本的な信頼性の確保には2万ポンドはかかると思うが、自分でそれを払う必要はない。望ましいのは誰かが既に惜しみなく大金をつぎ込んだ車だ。このゴールドのSCのようにね。この車にはもう2万2000ポンド費やされている」
 
「今後どのビッグバンパーモデルが一番値上がりするかだが、1974年カレラは実質的にRSで、まだ過小評価されている。とはいっても、いいものなら8万ポンドはする。カレラ3は希少だ。ただ私が最初に手に入れたポルシェが911Eだったというのは皮肉な話だよ。当時は、ビッグバンパーモデルには手が届かなかったんだから」
 
「いつか、バックデートした車をまた元に戻す時代が来ると思うね。だから、改装するときはいつも元に戻せるように気をつけているよ」

では、今こそ思い切ってビッグバンパーに飛びつくときなのだろうか。その前に、もうひとりから警告を聞いておこう。911の車体レストアのエキスパートで、イギリスのポルシェ専門ワークショップである"Autofarm" の修理工場でトップも務めたロビン・ダルウッドだ。

「後期の車は亜鉛メッキされているから錆びないと思ってはいけない。亜鉛メッキも永遠に保つわけじゃない。このモデルはどんどん古くなっている。シルやBピラー下の"キドニーボウル" に手を入れていないビッグバンパー911なら、まず間違いなく新しいものが必要になるし、フェンダーやBピラーもその可能性がある」

編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation: Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation: Megumi KINOSHITA Words: John Simister 

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