空力を極めたドーム型ファストバックスタイルとは?

PEUGEOT CITROEN JAPON

アミを投入してからもなお、「中間車種」がシトロエンには必要だった。それはつまり2CVとDSとの間の開きがあまりに大きいからだった。そのためアミに続いて、C60というDSの弟分のようなモデルが開発されたが、試作だけで終わった。さらにその後「F」というモデルが計画されたが、これも実現にまでこぎつけなかった。「F」は難物であるロータリーの搭載も画策されており、それが開発を遅らせたといわれる。
 
「F」に代わって急遽浮上したのが「G」で、短期間で開発されて1970年に発表された。これがGSである。迅速に開発できたのは、既存の技術の組み合わせで設計されたからであり、2CVの空冷水平対向エンジンと、DSのハイドロニューマチックが組み合わされた。ただしエンジンは4気筒であり、新たにSOHC化された。また空冷で問題になる振動対策も入念になされて、上級モデルにふさわしい静粛性に配慮した。


 
排気量は当初は1015ccしかなく、シリーズをとおして最大でも1299ccにとどまった。そのいっぽう車体全長は4120mmあったが、空力的ボディにすることで、小さいエンジンでも高速巡航を可能にした。背景にはフランスの税制があったといわれるが、小さいエンジンで大きなボディを走らせるのはフランス車のひとつの傾向であり、シトロエンはその典型例といえた。
 
スタイリングもGSの特徴であり、空力性能を極めるために、ドーム型のファストバック形状が採用された。これはかつてアンドレ・ルフェーヴルが理想とした設計の反映ともいえるが、1967年に発表されたピニンファリーナのコンセプトカー、BMC1800ベルリーナ・エアロディナミカの影響も指摘されている。ただもちろん見事にシトロエン流にデザインされており、ドーム型ファストバックスタイルは、このあと長い間シトロエンのひとつのトレードマークとなる。
 
GSはファストバックながら後部の荷室はトランク式だったが、1979年にGSAに進化し、より実用的なハッチバック式に変更された。
 
GSは回転がスムーズで、なおかつ低重心な4気筒水平対向エンジンのおかげもあり、走りのスムーズさが賞賛された。また、戦後の縦置き前輪駆動のシトロエンは皆そうだったが、フロントブレーキはオンボード式で、バネ下重量を軽くしていた。

文:武田 隆 Words:Takashi TAKEDA

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