最高にスーパーカーらしいスーパーカーを駆る!│紫衣の魔法を味わう 前編

Photography: Dean Smith

この世にランボルギーニの初代カウンタックLP400"ペリスコピカ"以上にスーパーカーらしいスーパーカーなど存在しないだろう。そのことを確かめるべくハリー・メトカルフがイタリアでLP400を駆った。

静まりかえったリミニの冬の朝、紫衣のカウンタックは圧倒的なオーラを放っていた。まだしも人の多い港街から随分と離れた場所にこっそり置いてみたつもりだった。それにも関わらず、アッという間に地元の人たちに囲まれて、今や皆が皆、思い思いにスマートフォンを向けている。

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サンタガータの工場をラインオフしてからちょうど42年が経とうとしているというのに、地元の人々はもちろんのこと、私自身までもがこの初期型カウンタックLP400“ペリスコピカ”に惹きつけられた理由は、シンプルだ。この車が、いかにも’70年代っぽいパープル(ランボルギーニでいうところのヴィオラ・メタッリッツァート)のボディカラーに真っ白なレザーインテリアという目立つコーディネーションだったからである。
 


このユニークな組み合わせは、最初のオーナーであるマイケル・ノス氏(現オーナーの説明によるとスウェーデンの有名なアントレプレナー)がオーダーした通りの組み合わせで、いかにもカウンタック乗りが選びそうな色合いだと思う。もっとも、仮にこのカウンタックが地味な茶色であったとしても、人々は脚を止めて見入ったことだろう。
 
マルチェロ・ガンディーニによるオリジナルデザインは、けだしスーパースターというわけだ。
 
それにしても、オリジナル・カウンタックのなんと小さいことか! 昨今の車はモデルチェンジのたびに大きくなるのが通例だけれども、ミウラからカウンタックへの世代交代の時は、違った。

V12エンジンを横置きするミウラに比べてカウンタックの全長は、巨大なパワートレーンを縦置きしたにも関わらず、230mmも短かったのだ。全高こそほとんど同じ1070mmながら、全幅は100mmも広く1880mmある。現代でいうところの3 気筒フォード・フィエスタぐらいのサイズに、V12エンジンを縦置きし、5速ギアボックスを組み合わせ、60リッターの燃料タンクが2個と、"使える"トランクルーム、あまつさえ尖ったノーズの下にフルサイズのスペアタイヤとエアコンシステムを収めるというガンディーニの設計には、ただただ驚くほかない。

編集翻訳:西川 淳 Transcreation: Jun NISHIKAWA Words: Harry Metcalfe 

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