パープルのフェラーリ・デイトナを12年間所有する│走らせる意味と哲学とは?

Photography: Tim Andrew

フェラーリが生み出した最初のスーパーカー、デイトナを所有するのはどんな心地だろうか。かつてはモータースポーツエンスージアスト、今ではデイトナに心奪われヨーロッパ中を巡った人物に話を聞いた。

「こんなにこの車が輝いているのを見られるなんて君はラッキーだね」 そう言いながら、きらきらとした笑みを浮かべるのはデイトナオーナーのバーティ・ギルバートスミスだ。 「あまり車を磨くことはしないんだ。けれど、私はハンプトンコートで開催されるコンクールの幹事をしているから、出展していなくても足としてこのデイトナに乗っていくと、必然的にオートグリムのスタッフに磨かれてしまうんだよ。それで、ちょうど綺麗になっているのさ」

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車を見たとき、そんなに丁寧な扱いをされているような印象は受けなかった。しかし、決して雑に扱われているというわけではない。彼はこのデイトナを12年間所有しているが、今もなお心から愛しているようだ。車を眺めることよりも、とにかく走らせることを楽しんでいるということが彼の誇りでもある。

しかし、ずっと眺めたくなるほどこの車はゴージャスだ。ゴージャスという言葉以外にこの車を表現する言葉が見つからない。近年、デイトナを取り囲むマーケットは目まぐるしく変化している。私が2001年に運転した1968年のデイトナは当時10万ポンドもしなかったのに、今では1980年代後半のブーム期も超える50万ポンドも優に達する。バーティがいくら払ってこのデイトナを手に入れたのかはあえて聞かなかったが、12年前デイトナを買おうと思えばとても快適な家を購入できた。そして今デイトナを買おうと思えば、さらに快適な家を手にすることができる。



このデイトナの特徴はなんだろうか。そう、カラーだ。パープルとは呼ばない。購入した時の資料を見ると、そこには"ヴィオラ"とあった。インテリアはブラックハイドだ。 グリジオ・フェロ(灰色)だったものがモディファイされ、この色になっていたのだそう。「写真で見た時は青に見えたんだ。だから、実際に見た時は良い意味でショックを受けたね。グレーではどこか野暮ったいし、レッドのフェラーリは欲しくなかった。いつもベストのものを手に入れるべきだね。長い目で見れば、安いものだし」

Words: Glen Waddington 訳:オクタン日本版編集部

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