パープルのフェラーリ・デイトナを12年間所有する│走らせる意味と哲学とは?

Photography: Tim Andrew



「1965年からAce ACを所有しているよ。クロス伯爵(イギリス人で初めてACコブラを手に入れた人物)がコブラを購入して、いつもコブラを夢見ていたんだ。彼が亡くなって、売りに出されるかと思ったけど出されなかったんだ。ただ、車を購入する準備だけは万全だった。デイトナを欲しいと思ったことはなかったけれど、とりあえず実物を見てみたんだ。右ハンドルで、プレキシガラスカバーのヘッドライト... よく見たよ。けれど、この1台を見るまでは何も魅力を感じなかったね」色なんて関係なく、デイトナを欲しくて仕方ない人からすれば、理解し難いであろう。

バーティはデイトナのドアを開き、低いシートに腰を下ろす。エンジンをかけ、ドライブの時間だ。

「この車で気に入っているのは、スタートの瞬間なんだ」と彼は笑みを浮かべる。「このけたたましいサウンドと、燃えてきている感じがたまらないね。運転は決して難しくないし。唯一問題点を挙げるとすれば、70mphで走るより、90mphで走るほうが圧倒的に良い走りを見せることだね。なぜかって、現代では90mphで走れる機会が無いんだよ」と話す。

バーティの車への愛はロングトリップからはじまっている。「1980年代に、ACオーナーの友達が所有するデイトナをコロラドからペブルビーチまで運転させてもらったんだ。ラグナセカでフェラーリ・オーナーズ・クラブのミーティングがあって、そこまでデイトナを持って行った。それがはじめてデイトナを運転した時だったのだけれど、速く走るための車なんだとつくづく感じたね。とっても暑いとき、バターに通すナイフのようにすばやく動くんだよ」

「一番長いトリップは、モデナ・セントロ・オレラリーに出場したときだね。リミニをスタートして、ステルヴィオを通過、モデナで休憩して、スイスに向かった。合計で3500マイル、あれは楽しかったよ」

Words: Glen Waddington 訳:オクタン日本版編集部

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