「らしさ」を身にまとったユニークなシトロエン

PEUGEOT CITROEN

1980年代から90 年代にかけて、シトロエンのスタイリングはその"らしさ"の維持につとめ、成果をあげてきた。ただ、やはりだんだんと常識的になってきているという見方があるのも事実だった。
 
1900年代が終わろうとする1999年12月に発表されたクサラ・ピカソは、わくわくするような丸いボディをまとっており、シトロエンらしさを全身で表現しているようにも思えるユニークなデザインであった。
 
この頃、世界的にブランドのルーツを回顧するようなデザインが目立っていた。1990年代にはニューミニや、ニュービートルなどが誕生して、世の中を賑わわせたが、そんな状況のなかシトロエンが世に放ったのが、クサラ・ピカソだった。
 
クサラ・ピカソの原型は、1994年のパリ・サロンで発表されたコンセプトカーのエグザナエだ。新時代にふさわしい車を企画するということで開発され、当時のPSA会長だったジャック・カルベが副会長とともに実際にパリの路上を走り、存在をアピールした。それから5年後に市販化されたクサラ・ピカソは、その基本コンセプトを忠実に受け継ぎながら、フロントマスクやサイドのウィンドウグラフィックなどは異なるものになっている。



このデザインを手がけたのは、当時在籍していたドナート・ココといわれ、彼はほかにもいくつもの作品を残したが、その後フェラーリに移籍した。モノフォルム・スタイルは日本車などでもめずらしくないが、クサラ・ピカソの独特なメルヘン的ともいえる雰囲気は、さすがシトロエンのファミリーカーと思わせるものがあった。
 
この車でもうひとつ注目すべきは、そのネーミング。シトロエンはもちろんこの画家の遺族に了解を得て、名前を使った。車体に付くPicassoのロゴは、画家のサインを再現している。車の名にアーティストの人物名を使うのはめずらしいが、これもシトロエンならではの常識にとらわれない発想といえるかもしれない。このあと「ピカソ」は、シトロエンのミニバン的モデルのネーミングとして展開される。

文:武田 隆 Words:Takashi TAKEDA

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