シルエットは個性で出す!ハイドロを搭載した最後のモデル

PEUGEOT CITROEN

1970年代からシトロエンはXの付く車名が多かったが、2000年代に入ると「C+数字」のネーミングが導入された。CとはCitroënの頭文字で、戦前のC4/C6以来のネーミングである。このあとDSが登場して、シトロエンはしばらく「Cライン」と「DSライン」が並立していたが、やがてDSは独立ブランドとなって別れた。
 
最初に「C〜」の車名を掲げて登場したのはC5だった。エグザンティアの後継に相当するが、再びボディは拡大されて全長は4620mmにもなった。C5導入とほぼ同時に最上級のXMが生産中止になったので、C5はその役も継ぐ必要があった。その後C6が投入されることになるとはいえ、C6の生産台数はあまり多くなかった。高級車市場でドイツ車ばかりが増えているのは、残念なことではある。
 
C5はハッチバック式ながら3ボックスセダン形状を採用し、リアデッキが短く、ノーズがDSのように尖ったところなど、エグザンティアのスタイルを継承している。ただしデザインの調子は一変して、クサラ・ピカソにも通じるような、中からふくらませたようなふくよかなデザインがユニークで、シトロエンらしさを感じさせた。もっとも販売成績があまりよくなかったので、マイナーチェンジ時に前後のデザインを大きく変えられることになった。
 
C5の技術的なトピックスとしては、ハイドラクティブが3世代目になっており、アクティブサスペンションの制御をまた進化させて、作動の違和感をさらに減らしていた。ハイドロニューマチックのオイルは、従来の鉱物油から100%合成油に変更された。
 


2008年にC5は同じ名前のまま、2世代目にモデルチェンジした。2代目もまた3ボックスセダン形状だが、こんどはハッチバック式をやめてトランク式になったうえに、見た目の印象が一見ドイツ製セダンかと思えるくらいの、オーソドックスなものになった。これは、中国なども含めた世界的な市場の潮流に従った面があると思われる。

2000年前後から一時期シトロエンらしさを強調するデザインが展開されていたのが、個性が薄まってしまった。ただしラグビーボールのような独特なシルエットの車体で、シトロエンらしさはしっかり残されている。
 
2代目C5は上級シトロエンでありながら、ベ
ースモデルに初めて金属バネが採用された。ハイドロのほうは、ハイドラクティブⅢプラスになり、通常走行時にはしなやかさを増した。ただしこのC5は、ハイドロニューマチックを採用する最後のシトロエンとなった。

文:武田 隆 Words:Takashi TAKEDA

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