7人乗れるモダンなモノフォルムのピカソ│その革新性とは?

PEUGEOT CITROEN

シトロエンはピカソのファミリーを増やしていた。2006年にはC4ピカソが発表される。ピカソ初代モデルのベースはクサラだったのに対し、その後継のC4をベースにしているので、いわば2代目ピカソともいえるが、新たに2モデルに分けられた。クサラ・ピカソの役を引き継ぐ2列シート5人乗りのモデルのほかに、3列シート7人乗りが新たに加わり、そちらはグランドC4ピカソを名乗った。ちなみに、日本市場には5人乗りモデルは導入されず(2代目で導入)、7人乗りモデルがC4ピカソの名で売られた。
 
本国のC4ピカソは、クサラ・ピカソよりやや大きく全長4470mmあり、グランドC4ピカソは+120mmの4590mmあった。ホイールベースは共通だから、ミニバンとしてはややコンパクトで、フィアット・グループと協業で生産するC8よりも、ひとまわり小さい。


 
5人乗りモデルのC4ピカソのほうは、クサラ・ピカソに似たウィンドウグラフィックではあったが、クサラ・ピカソほどの新鮮さのあるスタイリングではなく、比較してしまえばオーソドックスともいえた。とはいえ、ノーズが丸みを帯びたモノフォルム調デザインで、細部のデザイン処理も洗練されていた。7人乗りモデルの場合はリアがやや湾曲しながらもコーダトロンカ的に切り落とされている。GSやCXを思い出させるようなモダンなデザインで、かつシトロエンらしくどこか愛嬌のある雰囲気が魅力的だった。内装は、C4兄弟であることを感じさせ、センターメーターや固定式ステアリングパッドなどを採用し、やはりモダンで革新性を感じさせた。
 
2013年にはモデルチェンジして2代目になった。外寸はほとんど変わらないが、PSAの最新プラットフォームのEMP2を採用し、軽量化や低重心化が達成された。フロントマスクはシトロエンの新世代デザインをいち早く採用した。
 
2018年にはC4ピカソ兄弟は、C4スペースツアラーへと名称変更された。ピカソ・シリーズには弟分のC3ピカソも存在したが、そちらの後継車はひと足先にC3 エアクロスというSUVクロスオーバーへと趣旨替えをしており、20年間使用されたピカソの名は、シトロエン車から消え去ることになった。
 
画家ピカソの名の使用料が安いはずはないと、本国フランスでも推測されていたが、世界的にミニバンカテゴリーが、クロスオーバーSUVに圧されているという状況も、このことの背景にあるのかもしれない。

文:武田 隆 Words:Takashi TAKEDA

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