革新と独創に培われた協力関係│半世紀を越えるパートナーシップ トタルとシトロエン

エンジンオイルなどで日本でも馴染み深いフランスのトタルは、2018年に50周年を迎えたパートナーシップでシトロエンと関係も深い。その協力関係や共通する企業文化、新世代の推奨オイルなどの話を日本法人のエマニュエル・マトレ社長に伺った。

トタル社はフランスに本社を置く世界有数の総合エネルギー企業であり、石油化学の分野では世界屈指の開発力を誇る。主要自動車メーカーから、潤滑油の推奨や承認を受けているだけでなく、モータースポーツへも深く関わってきた。
 
トタルといえば、半世紀を超えるシトロエンとのパートナーシップがあまりにも有名だ。最初は1968年、シトロエンDSの燃焼効率の向上と、スラッジなどの汚れの堆積を防ぐエンジンオイルの開発から始まった。そして翌69年のモロッコラリーを皮切りに、モータースポーツ分野でも協力関係を深めていく。
 
21世紀に入ってからのWRC(世界ラリー選手権)でシトロエンが打ち立てた8回のコンストラクターズ選手権、9回のドライバー選手権制覇の偉業は、トタルの技術的貢献なしには語れない。
 
今回インタビューをお願いしたトタルの日本法人トタル・ルブリカンツ・ジャパンのエマニュエル・マトレ社長も、無類のレース好きである。「ル・マンを始めとする耐久レースや二輪レースの観戦によく出かけていましたし、社内セミナーでレーシングカーに試乗したこともありますよ」


 
大学では機械工学を専攻し、トタル入社後はエンジニアとして船舶用大型エンジンの潤滑油や、ギアボックスオイルの開発に携わってきた。それだけにマトレ社長はレース活動が開発に及ぼす影響には、十分に意識的である。「 ラリーのレース環境は、潤滑油にとっても非常に過酷です。さらに迅速に結果を出すことへのプレッシャーが、スタッフには常にのしかかってくる。そんな状況はわれわれに多くのことを学ばせ、成果を出させてくれました。そしてそれが、画期的な市販車用潤滑油の開発にもつながりました。レース現場でのシトロエンとの協力関係がなかったら生み出せなかったか、あるいは市場投入はずっと遅れていたでしょう。まさにモータースポーツで培われたものが、多くの可能性を生み出してきたわけです」
 
それにしてもフランスには他にも、ルノーやプジョーといった自動車メーカーが存在する。当時のトタル社がその中から、シトロエンを選んだ理由は何なのだろう。

「当時のメーカー間交渉の場に立ち会うには、私は少々若すぎました(笑)。しかし企業文化が共通していて、非常に共感しあえる関係だったと聞いています」
 
共通する企業文化とは、具体的に何を指すのか? その問いにマトレ社長は即座に、「革新と独創」という言葉を返してきた。



「失敗を恐れず、さまざまな技術革新を実現してきた。その姿勢は、まさに両企業に共通するものです。シトロエンと組んで開発を続けることで、より独創的な製品を作り出すことができる。その思いが間違っていなかったことは、その後の歴史が証明しています」
 
トタル社は市販車用潤滑油の開発も、シトロエンを含むグループPSA の研究員たちと共同で行っている。

「 レースの世界では、高い潤滑性能をいかに長い間発揮し続けられるかが求められます。市販車の場合も、基本的にその役割に大きな違いはありません。駆動部分の摩擦軽減がエンジンやギアボックスの寿命を延ばし、パフォーマンスも向上させ、そして何よりも燃費を改善させますからね」


 
中でもマトレ社長が「新世代の潤滑油」と強く推すのが、QUARTZ INEO FIRST0W-30である。

「トタルはシトロエンの新型エンジンにオイルを供給する唯一のメーカーであり、QUARTZINEO FIRST 0W-30はシトロエン唯一の推奨を受けています。この製品の優れた省燃費効果や長期間にわたってオイル性能が低下しない点などが、シトロエンに高く評価されたからに他なりません」
 
さらにQUARTZ INEO FIRST 0W-30はリンや硫黄、硫酸灰分を大幅に削減することで、三元触媒や粒子状物質除去フィルターを保護する役割も果たしている。

「これらの性能は多くの場合、レースの世界で限界まで試されたものが培われ、それが市販車仕様に落とし込まれたものです。その意味でもサーキットやラリーコースは、われわれにとってまさに実験室なのです」

文:柴田久仁夫 写真:佐藤亮太 Words:Kunio SHIBATA Photography:Ryota SATO

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