日本のシトロエンオーナーズクラブを訪ねる│ネットが物語る未来の可能性

Photography:Hiromoto FURUKAWA , Yoshisuke MAYUMI


 
そんな日本シトロエンクラブの悩みはやはり会員の減少と高齢化だ。バブル末期、マツダが販売網に加わりBXが売れに売れていたころが会員数のピークで、その当時は400名弱の会員を抱えていた。そして現在、クラブの活動の中心になっているのは、そのころシトロエンに初めて触れた、いまでは50代の方々である。この問題は他の自動車のオーナーズクラブも同様だし、自動車雑誌も同じだ。
 
これまでの日本シトロエンクラブの長い歩みは、152号を数える会報誌で振り返ることができる。当初は年4回の「遠足のしおり」のようなガ・・・リ版刷りだったが、今では回数こそ年2回になったものの上質な紙にオールカラー印刷だ。取材時に最新号だった151号の巻頭には、クラブの2代目会長であり、鉄道模型趣味でも有名だった故椙山満氏のご子息への訪問記が、美しい写真とともに掲載されている。他にもメンテナンスリポート(部品番号付き!)、現行シトロエン/DSのエンジンスペック一覧などが掲載された全46 ページは実に読み応えのある内容だ。日本シトロエンクラブのメンバーになるためには入会金や年会費が必要だが、その大部分が会報誌の発行に費やされているというのも納得ができる。


 
一方で最近始めたFacebook のグループページには日本シトロエンクラブの会員でなくても参加が可能だ。そしてそのメンバーはこの5月初旬の段階で430名を超えるまでに膨れ上がっている。取材時から原稿を書くまでの1カ月弱で50名も増加し、ついに全盛期の会員数を追い越してしまった。C3やC4ピカソのオーナーも多いということは、つまりそれほど"濃い"シトロエン乗りではないことが想像できる。
 
インターネットがなかった時代、自動車雑誌に加えてオーナーズクラブの会報誌や定期的なミーティングで手に入れた情報は、愛車のコンディション維持のために欠かせない宝物だった。特にシトロエンのようにユニークかつ複雑なメカニズムを持ち、なにより少数派に属する車のオーナーならなおさらだ。


 
いまや情報はネットに溢れかえっている。しかし、その情報の洪水のなかから本当に信頼できる情報を手に入れることの困難さを感じている人も、また多いのではないだろうか。日本シトロエンクラブのFacebookページ参加者の増え方はそれを如実に物語り、そしてオーナーズクラブの未来の可能性を示唆しているように思えてならない。


日本シトロエンクラブ
代表者:坂井 正二
URL :http://ccj.gs
参加資格:シトロエンオーナーもしくはシトロエンに
興味があり、社会人としての常識をわきまえた方
入会金:2000円 年会費:5000円

文:馬弓 良輔 写真:古川 公元、馬弓 良輔 Words:Yoshisuke MAYUMI 

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