世界にたった3台!黄金に輝く特別仕様のデロリアンができるまで

Photography Matthew Howell

映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でタイムマシンとなった車、デロリアンDMC-12。ボディはむき出しのステンレススチールのため、色はグレーしかないが、実は黄金の特別仕様が3台だけ存在する。

1979年12月、大手クレジットカード会社のアメリカン・エキスプレスのクリスマスカタログに、24金のデロリアンが掲載された。価格は8万5000ドルで、標準仕様の3倍。そのためか、限定100台のところ、最終的な注文はたったの2件だった。製作は困難を極めた。まず、ドイツのデグサ社に依頼して、ボンネットやドアパネルがそのまま入る巨大なタンクを製作。このタンクには極めて高価な金めっき液が2500リットル入った。現在の金額で20万ポンド相当にもなる。

注文の2台とスペアの1台、合わせて3セットのパネルとホイール、車外トリムがデグサ社に送られ、3日かけて金めっきが施された。完成したパネルの価値は最高で1枚1万ドル。少しでも傷がついたら、もう消すことは不可能だった。そのため、イギリスに戻ってきたパーツは、選りすぐりのスタッフによって慎重に組み立てられた。



1台目の納車は1981年10月12日。購入者はテキサス州の銀行の頭取で、黄金のデロリアンをガラスのケースに収めると、その後20年間、銀行のロビーに展示した。それが写真の1台で、現在はロサンゼルスのピーターセン自動車博物館に収蔵されている。今まで水もオイルも燃料も1滴も注入されたことがなく、オドメーターは9マイルで止まっている。



もうひとりの購入者はカナダの実業家で、1442マイル走行したのち、ネヴァダ州リノの国立自動車博物館に寄贈した。残った1台分のスペアパーツは放置されていたが、デロリアンの倒産後に資産を買い取ったオハイオ州の会社によって、1983年に組み立てられた。その後、経営するデパートでくじの景品となり、当選者が636マイル走行。現在はメリーランド州の個人のコレクションとなっている。

Words: Giles Chapman 抄訳:木下恵

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