ロイヤルファミリーの車コレクションが一堂に会するミュージアムに潜入

PHOTOGRAPHY Matthew Howell

イギリス王室の別邸サンドリンガム・ハウスの広大な敷地には、代々のロイヤルファミリーが所有してきた車のミュージアムがある。

王室で最初に車を購入したのはエドワード7世だ。1900年に、アクセルペダルや電動式点火装置を備える最新式のデイムラー6hpモデルAをオーダーした。ボルドーの塗色は、ビクトリア女王の馬車に合わせたもの。ロイヤルクラレットと呼ばれて現在も王室の車両の定番カラーとなっている。当時まだイギリスの上流階級では、自動車は危険でうるさいものと考えられていたが、このデイムラーが流れを変えた。



以来50年間は、デイムラーのシャシーとフーパーのボディワークが重用された。しかし、1950年代半ばからロールスロイスが台頭する。1961年ファントムVは秘密裏に開発された特別仕様で、エリザベス女王の公式行事で頻繁に使用された。


左端にのぞくのがファントムV。窓の向こうはマウントバッテン卿がインド総督時代に使ったロールスロイス・シルバーゴースト。運転席が写るのは、女王の祖母メアリー王妃が“ショッピング・デイムラー”と名付けて晩年に愛用した車。


狩猟を楽しむ際に活躍したのがシューティングブレークだ。なかでも目を引くのが、1924年8月にジョージ5世に納車された57hpデイムラーで、ボンネットを覆う木目模様は、スカンブルという技法で手描きされている。また、フォードV8パイロット・シューティングブレーク(写真左奥)は、女王の父ジョージ6世が1951年に造らせたもの。1952年の崩御後も、形見として60年代まで一家が大切に使用した。



ロイヤルファミリーが私的に使った車も展示されている。手前のアルヴィスTD21は、女王の夫エジンバラ公が特別仕様で造らせ、ドイツ旅行やアン王女の学校の送迎などで6万マイルも走行した。


1955年にアメリカからチャールズ皇太子に贈られた子ども用レーシングカー。2ストロークエンジンを搭載し、60km/h以上の速度が出た。車体の傷は皇太子がつけたものだろうか。

WORDS Giles Chapman // PHOTOGRAPHY Matthew Howell 抄訳:木下恵

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