ジャガーの歴史に残るデザイナーが語るXJ6の素晴らしさとは?前編

Photography: Paul Harmer



カラムは、XJが新しい市場を生み出したと考える一人でもある。「とても良く売れた。特にアメリカで、それも女性に。他のラグジュアリーな車たちはだんだん大きくなっていっていたけど、これは運転するのにちょうどいいサイズだったんだ。本当にスポーティーでラグジュアリーな1台だったけれど、大きすぎず、多くの人に気に入られた。この車の操作性は、世界でも高く評価されていて、V12を取り入れた時には、まさに世界最高だったね」

XJ6の多くの要素がカラムを夢中にさせた。フロントグリルは、それまでの(MkVIIを除いた)額縁タイプではなく、ボディーにはめ込まれていた、大小のヘッドランプ、大きな“教会の窓”の様な後部ライト、“完璧なボディー”、Cピラーが小さくなり、ガラスの部分がより大きくなる様に“丸みを帯びたルーフ”がドアのシャットラインと重なっている。

コカコーラのボトルの様な曲線的な最後部。しかし彼が最も好きだったのは、当時としては大きな車輪の上にある“今まで誰も見たことのない”ボディーワークの優美さだった。他のライオンズの車と同様に、シートが窓の下のラインよりも上になることでガラス内の視界を妨げることは許されなかった。



S2では、視界の美しさはなくなったが、全体的に見るとかなりすっきりした感じを保っていた。S3とは異なっている。お決まりの巨大なバンパーは無視して、議論の中心は全てピニンファリーナのルーフラインであった。カラムは特に感銘を受けなかった。「僕は新しい屋根が改善だとは思わないよ。もとの方が好きだった」気が進まない様なため息を交えて言う。「でもそうすることで、内部により広い空間が得られたんだと思う」

角張ったXJ40に続く、あちこちのデイリー・テレグラフの読者を残念がらせた1980年代中頃に取り入れられた変更について、ジャガーは全く気づいていなかったのだ。カラムはよく考えて、あごをさすりとても絵になるポーズで、話し始める前にかなり間を置いた。ネがティブ発言の連発が始まる・・・と思ったが、まったくそうはならなかった。 <第二弾に続く>

Words: James Elliott   翻訳:古川浩美(Ruote Leggendarie)

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