2度の事故に戦争... 悲劇のベントレーが80年を経て蘇る│その美しい姿は?

Bentley Motors

80年前、ベントレーはMk V サルーンのスポーツバージョンの製造を試み、それまでのベントレーにはなかった斬新な1台を生み出した。しかし、不運が重なり80年にわたり姿を消していた。一体、その不運とは何であったのであろうか。

Mk5のシャシーを軽量化し、Mk Vのエンジンを搭載して作られたコーニッシュは、5月にブルックランズ・サーキットで行われたテスト走行で111mphのパワーを発揮した。これは、当時のモデルとしては革命的な結果であったのだ。風変わりな見た目はフランス人デザイナー ジョルジュ・ポーリンによって手がけられた。

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ブルックランズでのテストを終え、7月にはシャトーでロードテスト走行を行ったが、バスと事故を起こし修理へ送られることに。翌月には完成し、再びロードテストへ。その日は路面状況が良くなかったそうで、今度は木に激突してしまったのだ。この事故で負ったダメージはかなり大きく、その現場は写真に残されている。しかし、この大破したコーニッシュは、アールズ・コートとパリでのモーターショーに展示される予定であったのだ。



ベントレーはそれに向けて急いで修理をするため、シャシーはイギリスのダービー工場へ、ボディはフランス・ディエッペのショップで行うことにした。無事にどちらも終え、ボディワークはダービーで完成させられるよう、ボディをディエッペから船で輸送することになっていた。

しかし、ここで最後の悲劇が待ち構えていた。迎えを待っていたボディが、第二次世界大戦の爆撃を受け跡形もなく消え去ってしまったのだ。シャシーはそのままダービー工場へと戻され、それ以来、このコーニッシュが再び姿を現すことはなかった。



それから80年が経った2019年、コーニッシュが復活したというニュースが発表された。ベントレーのビスポークを手がける職人チーム、マリナ―がリビルトしたというのだ。徹底的に当時の資料を調べ、オリジナルを再現するために職人や歴史家たちが集められた。工場に残っていた当時のコンポーネントを可能な限り使い、1台が完成させられたのだ。インテリアについては写真も残っておらず、正確なものが分からなかったが、当時採用されていたと考えられるコノリーレザーが用いられている。ペイントチームもこのカラーを創り上げるのに長い月日をかけたそうだ。



現在、このコーニッシュはすでに実働可能であり、9月に開催されるサロン・プリベにて初公開されるとのこと。

オクタン日本版編集部

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