ボロボロでもありのままを大事に│あるコレクターのストーリー

Porsche AG

カリフォルニア州都のサクラメントから、そう遠くないところにポルシェコレクターであるマット・ハメルは住んでいる。"本物"にこだわりポルシェを集め、ドライブさせている彼のガレージには手が加えられていないポルシェのコンポーネントなど宝がたくさん眠っている。

掘って、見つけて、洗い上げて、という普通のコレクターがするような工程は彼にとって必要ないようだ。錆びて捨てられるような状態になったものこそが、ハメルにとっては宝なのである。つい最近は、シートのココナッツ繊維がむき出しになってボディも錆びだらけの1956年 ポルシェ356A 1600を発見した。

「このポルシェのエクステリアは発見したときのままのだよ。この本物の状態が良いんだ。長い間生きてきたけれど、まだ存在しているということだけでも意味がある。レストアせず、タイムマシンにように保管していきたいんだ」と彼は話す。



なぜ、彼はありのままのポルシェにこだわるのであろうか。「ポルシェはドライブするために作られたんだ。ガレージで放っておかれるためじゃない」そう言い、356のエンジンをかける。「良い音をさせているでしょう?家まで案内するよ。まだポルシェがあるから」

曲がるときには窓から腕を出して合図をしていた。山道のカーブも難なく越えてゆく。木々に囲まれた彼の家に着くと、そこには他のポルシェコレクションが停まっていた。1986年 911カレラ 3.2、1958年 356A スーパー、2台の1952年 356カブリオレだ。「この2台は同じ時に製造されたもので、シャシー番号が並んでいるんだ」1台は一桁目が4で、もう1台は5で終わっている。しかし、どのようにこの2台を集めたのかということは明かさなかった。「車が見つけてくれるということもあるんです」とだけ言葉にした。 



彼の車への情熱は若い時からはじまっていて、16歳の時には車のレアなパーツを探すことをしていた。特に、VWのコンポーネントを求めていたそうだ。カリフォルニアを探し周っていたが、VWのパーツがたくさん眠っていると言われていた、ビルマとタイへ旅に出た。

アメリカへ戻り、レアなコンポーネントを売りに出した。「もしヒストリックVWに関することからはじめたら、最終的にはポルシェに辿り着くのが自然の流れだよ」家の隣には納屋があり、そこにはぎっしりと宝が保管されている。10年以上前に発見したものも含まれている。パーツそれぞれ、見つけたときのストーリーを交えながら話してくれた。

「エンジンはリビングルームだよ」と、ツアーは続いていく。カマックス製のネジで一杯になった瓶や、356 pre-Aにのみ使われていた80mmのピストンなど、次々と出てくる。「貴重なポルシェを所有している人から連絡をもらえば、それに最も相応しいものを喜んで納屋から探し出すよ」

"宝は、求めている人に受け継がれていくべき"というのが彼のポリシーなのである。

Words: Porsche newsroom 訳:オクタン日本版編集部

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