「最も醜い車」を決めるコンクールとは?個性あふれる車が大集合

Octane Japan

車のコンクールといえば、そのエレガンスさやオリジナリティの高さを評価するものであるが、世界には「最も醜い」車を決めるコンクールが存在する。

「コンコルソ・レモン」と名付けられたこのコンクールは、世界最高峰といわれるペブルビーチ・コンクールデレガンスで締めくくられるモントレー・カー・ウィークにて開催されるイベントのひとつである。“レモン”という名は、「見た目だけでは中身が分からない」ということを意味しているそうだ。

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醜い車を決めるというのだから、並んでいる車は決して綺麗とはいえないものばかり。ガムテープで補強してあったり、いかにも手作りのシートが取り付けられていたりする。中にはライトをLEDに替えていたり、EVであったりと、新しい要素が盛り込まれている車もある。



とにかく、このイベントではオーナーそれぞれの個性があふれており、時には自身もコスプレをして愛車とマッチするように装ってきている人もいる。エレガンスさを競うコンクールでは、常に何か気にしていなければいけないような、どこか張りつめた空気感を感じるがここでは全くそんなものはない。訪れる人も含め、本当にその“場”を楽しんでいるのだ。シトロエン2CVのオーナーはフランスにちなんでフランスパンを持ってきていたり、クッキーを配っている人がいたり、原色カラーの服に身をつつんだ人がいたりと狭い場所ながらも様々な世界を見ることができる。





ラインナップされている車の中に、ここにあることがとても不思議な1台があった。それは、世界有数のコンクールイベントでも常連の今はなきフフランスの高級自動車メーカー ファセル・ヴェガだ。深いグリーンのファセルⅡはなんとも渋く、美しい。どこも醜い要素などないのに... と思わざるを得ない。なぜここに置いているのだろうか。オーナーは70歳ほどの小柄な男性。キャップを被ってずっとニコニコしていた。"なんで醜い車コンテストにファセルを出しているんですか?"と聞いてみると、"お高くとまったコンクールより、こっちのほうがよっぽどこの車に合っているだろう"と笑いながら返してきた。ロサンゼルスの方から自走で走ってきたというのだから、また驚きだ。



彼の両親はフランス人で、特に母親がこのファセルを大事に乗っていたという。それを受け継ぎ、このようなイベントにも参加しているのだそう。

展示してある車は、みんなを楽しませるということを目的としているため、"触れるの禁止"というような看板は見当たらない。ちなみに、コンクールというからにはジャッヂもされる。与えられる賞は、「最も醜いで賞」「ゴーカートよりはマシで賞」「最も危険な車で賞」など。個性豊かな車が選ばれる。



もちろん、モントレー・カー・ウィークは1週間を通してエクスクルーシブな空間を味わうことができるというのも大きなポイントのひとつであるが、その中にこのようなフレンドリーで誰でも楽しめるような場があるということも大きな魅力であろう。




入場料はかからないため、また来年チャンスのある方は、気軽に足を運んでいただきたい。

オクタン日本版編集部

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