安心してクラシック・レースに参加するために・・・

Photography:Tomonari SAKURAI

たとえば、レーシングカーを手に入れたとしよう。グループCカーだ。それも当時ワークスマシンで活躍していたモノ。コレクションとしてガレージに納めてそれを眺めながらこの車がサーキットを暴れ回っていた頃を思い出しながら一杯やるのもいいだろう。でもせっかくなら走らせたい。

ヨーロッパならピーター・オート主催のグループC・レーシングがあり、年間6戦で各地を転戦しながら年間タイトルを狙うことも出来る。2年毎に行われるルマンクラシックもその一つだ。ユーノディエールを駆け抜けることが出来るのだ。
 
でも、市販車と違って数台しか作られていないマシン。整備は出来るのか?もうこの頃になるとコンピューターが介入してくる。ソフトはあるのか?それらの不安を解消してくれるのがルクセンブルグに本拠地に置くART&Revsだ。ここでは80年代のレーシングカーをメインに車両の販売を行っている。そして、ここのメカニックによるICONIC Raicingがあなたのレース活動をサポートしてくれるのだ。


ART&Revsのアトリエでオーバーホール中のXJR14
 
ル・マン・クラシックで知り合ったチームオーナー、フローラン・ムーラン氏に誘われてJAGUAR XJR14のテスト走行の様子を見に出かけた。フローラン氏のガレージから30分ほど。国境を越えてフランスへ。そこにある小さなシャンブレーサーキット。これまた小さな空港と隣接しているので騒音を気にしなくて走行できる。このXJR 14は1991年当時走行経験が無い。と言うのも、TWRがレースを行っていた頃全部で3台のXJR14が製作されたが、レースのために、ふんだんにスペアーパーツが作られていた。そのスペアーパーツを組み合わせて作られた一台がこれだ。正規に組み上げられたモノなので、きちんとTWRのプレートにシャーシナンバー”X9I"が記載されている。
 
このXJR14のウィークポイントはギアボックス。TWR製6速ギアボックスはデリケート。シフトチェンジをちょっと粗く使うとギアが削れて入りにくくなる。実際に現オーナーはそのシフトチェンジが粗いようでレース毎にギアをオーバーホールしているという。今回はそれを軽減する為の対策を施したギアボックスが搭載されてのテスト走行だ。


ル・マン・クラシック参戦中のXJR14とICONIC Racing
 
XJR14は走行のための準備を進める中、もう一台クラッチ交換を終えたICONIC RacingのマシンSaleen S7R GT1のテスト走行を行っている。XJR14は暖機しつつ準備を始める。ECUはMoTeCのモノに置き換えられているので不自由なくコントロールできる。もしもエンジンにトラブルがあった場合はジャッド(Engine Developments Ltd.)がほとんど引き受けてくれる。また、レースだけあってクラッシュもつきものである。スペアーの無いボディ、もしクラッシュで破損させたら?現在では3Dスキャンがスペアーの製作を可能にしている。クラッシュに会う前にボディパーツを3Dスキャンでデーターとして残しておけば、何時でも複製できるというモノ。もし、スキャンデータが無くとも、例えば右側を破損したら左側をスキャンして反転し右側パーツとして再生が可能というわけだ。


今ひとつふけ上がらないと調整する。が、車のトラブルでは無くドライバーの腕のようでフローラン氏がドライブすると別物のように吹け上がってタイムを縮めていた。

フローラン氏はマシンに対して潔癖症なところがある。エンジンが壊れたりするのは仕方が無いが、飛び石など食らってボディが傷つくのが非常に嫌がる。そこで、スマホの保護フィルムよろしくICONIC Racingのマシンのほとんどは、ボディに保護フィルムを施してあるのだ。
 
このような万全の体制でクラシック・レースを楽しむ事ができるのだ。レースの時はICONIC・Racingが全て面倒を見てくれる。これで、不安は解消できただろうか?さあ、あなたも安心してクラシックレースに参加してみてはいかがだろうか。

写真:櫻井朋成 Photography: Tomonari SAKURAI

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