南プロヴァンス サンブークに潜むプライベートサーキット|Spark

フランスの南側、南プロヴァンスは1年のうち300日が快晴に恵まれる土地。サント・ヴィクトワール山のすぐ隣に、個人所有のサーキットが存在していることをご存知だろうか。

サーキットの創業者

南プロヴァンスの気候にはめずらしい曇りの日、山道を抜けた先にある大きな黒いゲートをくぐると、そこには広大な敷地が広がっていた。およそ600ヘクタールの敷地内には"Circuit Du Grand Sambuc"と呼ばれるショートサーキットや森の中をかけぬける本格的なアウトドアコース、歴史的なシャトーが1城と、ゲストハウスが並ぶ。敷地内には緑やラベンダー畑が広がり、どこか懐かしい、優しい景色が広がる。


サンブーク・サーキットは1周約2km。コースには800mのストレートとリズミカルな配置のコーナーを有している。2016年に改装され、FFSA(フランスモータースポーツ連盟とCNECV(全国スピード試験委員会)にも認定されている。
 

敷地内にはかわいらしいロバも。近くで触れ合うことができた。

このサーキットは、Régis Fraissinet(レジス・フレイシネ)氏の手によって誕生した。現在88歳になるレジス氏だが、往時にはル・マンにも出場した元レーシングドライバーだ。数年前、年齢的にもこの膨大な敷地のメンテナンスをすることが難しいと感じたことをきっかけに、大切に使ってくれる2代目のオーナーを探し始めたという。なかなか良い縁に恵まれなかった中、フランスのモデルカーブランド" Spark "をメインに展開しているMINIMAX社の代長 ウーゴ・リペール氏と出会い、ウーゴ氏の言葉やプロダクトから、車とモータースポーツに対して"同じパッションを持っている"と感じ、その土地のすべてを引き継ぐことを決断したのだという。


サーキット創業者で元レーシングドライバーのレジス・フレイシネ氏(左)と現在のオーナーでスパークの代表のウーゴ・リペール氏(右)。車とモータスポーツに対して同じパッションを持つ二人だ。
 
土地を手放した後も、レジス氏はサーキット横にある山道を少し上がった所に自宅を所有しており、今も敷地の中で、これまでと変わらない生活を送っている。今回の訪問では特別に自宅に伺い、幼少期から集めたモデルカーのコレクションや、現役当時の貴重な写真など、隅々まで見学することができた。




   
レジス氏の立派な自宅の最上階には、数え切れない数のモデルカーや模型が壁一面に。中には人生ではじめて手に入れたという、貴重なブリキのミニカーも。

自身の経歴を楽しそうに振り返る語り口調からも、車に対する愛が垣間見える。現在の車事情について尋ねると、いまだ現役でハンドルを握っているといい、「いろんな人が『高齢なのにそんなスピードを出すのはおかしい!』と言うけれど、それは心と体の持ちようだよ。私は90歳になったとしてもアクセルを踏み続ける!」とレジス氏。車を生涯乗り続けるために、日々頭と体のトレーニングは欠かさないという。「もちろんメディカルチェックやライセンステストの審査通過は必須だよ」と自信のある笑みで話してくれた。ちなみに、普段乗りにはシトロエンのDS3がお気に入りだという。


アカデミーのコーチを務めるステファン氏。長年F1ドライバーへの指導をしていたといい、コーチ歴は28 年。培ったスキルで最新のモデルからクラシックカーまで幅広くコーチングしている。
 

敷地内でひときわ存在感を放つシャトー。フランス政府から許可が降りたので、これから改修作業が入るという。


敷地内では本格的な山道を攻めるバギーやオフロード車走行も楽しめる。普通のドライブでは物足りないという方は、ぜひチャレンジしてみてほしい。

さまざまなアクティビティを体験

さて、こちらのサーキットでは、さまざまなアクティビティが開催されている。たとえば映画やミュージックビデオの撮影、自動車ブランドの発表会なども実施された。最近では「スパークモータースポーツ」とロータス公認のオフィシャルスクール「ロータス ドライビングアカデミー」という2つのレーシングアカデミーも開校している。

どちらもオーナーの目的や乗る車に応じた的確なドライビングスキルを指導しており、1対1のプライベートレッスンからグループレッスンまで、柔軟に対応することが可能だという。南フランスの気持ちの良い日差しと、自然に囲まれた視界のいいサーキットでのドライビングは、普段のサーキットとは一味違う開放的な気分で走行を楽しめるはずだ。

ウーゴ氏の交友関係

取材でサーキットを訪れる前、ウーゴ氏に同行して立ち寄ったのは、1994年のWRCでトヨタ セリカ ターボを駆り、優勝を果たした、ディディエ・オリオール氏のご自宅。ガレージには自身のチャンピオンカーがトロフィーやレーシングスーツと共に並ぶ。心からモータースポーツを愛し、楽しむウーゴ氏。多くのイベントでは、ミニカー作りのリサーチのため、サーキット内のレーシングカーを一日中見て周るという。その熱意ある姿勢が、多くの現役ドライバーやレジェンドドライバーから愛されている要因だ。


オリオール氏は1958818日生まれのフランス出身のラリードライバー。1994年にはトヨタ セリカ ターボ4WDをドライブし、WRCチャンピオンに輝いたことでも有名だ。


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自宅の一室にも伺ったが、ビリヤードルームには壁を囲むように獲得したトロフィーやミニカーがきれいに飾られていた。当時の功績が目で見て感じられる。もちろんトレーニングルームも完備している。写真では見にくいが庭の奥にはプライベートプールも備えている。現在も専用マシンを使用して、毎日体を鍛えているといい、「いつでもハンドルを握る準備はできているんだよ!」と話してくれた。


Spark Motorsport公式ページ

文、写真:オクタン日本版編集部 Words& Photography:Octane Japan

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