ジェントルマン・ドライバーのためのレース GT3とベントレー

Images: Bentley Motors


 
なお、コンチネンタルGTの駆動系はフルタイム4WDではなく、コンベンショナルな後輪駆動とされている。これはGT3レースではフルタイム4WDが規則で禁止されているための措置。サーキットレースでも後輪駆動を上回るパフォーマンスをフルタイム4WDが発揮することは、かつてアウディが世界中のツーリングカーレースで実証してみせた通り。

しかし、そのポテンシャルを認めつつも自分たちのレーシングカーに採り入れられなかったライバルメーカーはフルタイム4WDのレース転用にこぞって反対。GT3でもフルタイム4WDが禁止されているのはこの流れに沿ったものだが、裏を返せば、フルタイム4WDのポテンシャルがそれだけ高い証拠とも受け止められるエピソードだ。
 
2014年にデビューしたコンチネンタルGT3はMスポーツ・ベントレーの手でブランパンGTシリーズに挑戦。競合ひしめくなか、初年度にもかかわらずシリーズ7位に食い込む健闘を示した。翌2015 年にはM スポーツにくわえてチームHTPもエントリー。デビューシーズンにしてシリーズ2位の大金星を挙げた。
 
一見したところライバルたちに比べて大柄なボディのコンチネンタルGT3は、車重の点でもエアロダイナミクスの点でも不利なように思える。しかし、車重は超軽量設計を施すことによりオリジナルより大幅に軽い1300kg以下を達成。全高が高いことでたしかに空気抵抗は大きくなるはずだが、全長ならびに全幅に余裕があることから路面と相対する面積はライバルよりも大きく、これがグラウンドエフェクトによって大きなダウンフォースを効率よく生み出すことにつながっている。このためコンチネンタルGT3は大きなダウンフォースが必要なコースで特に強みを発揮するという。


 
コンチネンタルGT3はその後もブランパンGTシリーズで上位入賞を繰り返したほか、世界中で開催されるGT3レース・シリーズで合計4つのタイトルを獲得。レースで43回の優勝を勝ち取っただけでなく、通算で120回を上回る表彰台を手に入れたのである。

文:大谷達也 写真:ベントレーモーターズ  Words: Tatsuya OTANI 

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