オートモービリアの魅惑の世界。イタリアからのビバンダム。

1907年から1957年、ミシュランイタリアの50年の歩みという本。

1898年ミシュランタイヤのキャラクタービバンダム、愛称はビブ、が誕生した。積み重ねられたタイヤをヒントにO’Galopの描いたポスター”Nunc est Bibendum!!(今こそ飲み干すとき!)”からその名が付いた。企業キャラクターとして世界初のキャラクターでもある。
 
そのビブが表紙になった本がイタリアから届いた。1907年から1957年。ミシュランがイタリアに進出して50周年を記念して発行された本である。と言っても一般に出版されたモノでは無く、関係社や社員向けのものでいわゆるレアものである。


使用されている紙も重厚なもの。印刷もこの時代でも高価なモノが使 用されている。ミシュランタイヤの歩みをイラストで紹介するページにはビブがあちこちに登場 し、その年代によるビブの違いも分かる。

1907年にミシュランがトリノに工場を設立してからの50年間のミシュランの軌跡とイタリアでの歩みを紹介したモノ。写真も豊富でイタリアを中心としたミシュランの活動が紹介されており、タルガフローリオも当時の写真から掲載されている。また社員向けであったろうと想像できるのは中間から一般の社員、工員の姿が描かれ、また福利厚生などもページを割いて、如何にミシュランは従業員のためにもやって来たかを記している。


従業員の家族に対してクリスマスにはビブは子供達におとぎ話をして プレゼントをあげたという事だ。

表紙に1900年頃の初期のビブと1950年代のビブが表紙となっている。このビブ、タイヤ、車の対象が変わるにつれてその姿を変えていったのも魅力の一つだ。19世紀後半から20世紀初頭は車は極限られた富裕層のみ。そのためビブもその出で立ちになり、戦後底辺を広げたモータリゼーションの影響でビブもより一般的なかわいらしさを身につけていった。現在ではすでに100歳を超えたビブはたくさんのグッズが残っておりコレクションの対象である。そのビブを使ってこの本は勧められていく。イタリア向けのビブはファッションがイタリアっぽかったりいつもとは違うビブが見られるのも楽しい。


これからもビブは世界と繋がっていくだろう。
 
キャラクターと言えば日本の文化となっているわけだが現在のミシュランはこの辺りに興味を示さない。以前ミシュランに尾部をもっと前面に打ち出してみてはと進言したときに「うちはタイヤ屋でビバンダム屋ではない」と突き返されたのを思い出す。50年前とは言え、見事にキャラを使ってミシュランという存在を正に個性(キャラクター)を表しているのだ。あらためてキャラクターの持つ意味を感じさせられる一冊でもあった。

オクタン日本版編集部

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