ミニ60周年を祝い集まった60台がグッドウッドで激戦を繰り広げる!

Photography: Drew Gibson, Jayson Fong, Toby Adamson, Jochen Van Cauwenberge

ベティ・リッチモンド・トロフィーを巡るレースでは、グッドウッドならではの流儀でミニの60周年が祝された。

各ピットにあふれかえる関係者、そしてコーデュロイの服を着た人々。細部にいたるまで驚くほどにレベルの高いメカニック達は一様に気難しそうな表情を浮かべている。ミニのボンネットの下には手を加える余地がほとんどないのだが、そんなミニが何十台も並び、出走間際の最終調整に細心の努力が払われる。

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ピットに並ぶミニのオーナーの中でも、ドライバーとしてレースに参加しない人々は、かつて「スマート・カジュアル」と謳われた装いに身をつつんでいる。彼らも眉を寄せ、もどかしそうな表情を浮かべる。一方で、世代も体形もさまざまなドライバーたちは、真剣に集中力を高めている。人によっては、出走前のマシンの調子を狂わせないように、ステアリングを握ることにすら慎重になっているようだ。
 
ようこそ、ベティ・リッチモンド・トロフィー・コンテスト開始前の、熱気あふれる舞台裏へ。このレースは第77回グッドウッド・メンバーズ・ミーティングで開催された催しの一環だ。会場では、昨今ヒストリックカーとしても扱われるLMP1クラスの主力マシンや、NASCARのストックカーなどのデモンストレーションに加え、多彩なマシンが勢ぞろいした様々なレースが開催されている。中でも、ミニに焦点を当てたのがこのコンテストだ。



エントリー・リストを占めたミニの数も圧倒的だという。グッドウッドの現当主はゴードン公爵位もあわせ持つリッチモンド公爵だが、彼の胸中に各去来したのは、グッドウッドの地所を愛車で小気味よく飛ばしていた祖母君の思い出だろうか。彼女が愛用していたという明るいレッドのオースチン・セブンのヴァリアントは、1959年に発売されたばかりの初代モデルのひとつだった。


それとも公爵は、このレースを通して、祖母君の栄誉や、英国で広く愛され英国車のアイコンとも呼べるミニを称えようと心に決めていたのだろうか。あるいは、そうした想いがすべて詰まっていたのかもしれない。
 
ミニの60周年を祝して、会場には60台の素晴らしいミニが集まった。参加車両はどれもFIAの付則K項にあわせて仕立てられ、1293ccエンジンが搭載されている。土曜の午後に予選レースが2回行われ、各レースの上位15台が日曜の決勝レースに進む流れだ。練習走行で首位に立ったのはニック・パドモアだった。「モダン」時代の圧倒的なラップ・レコードをローラT70でたたき出した経歴を持つ彼は、今回は130bhpのクーパーSを操り、平均92.54mph(約149km/h)で1分32.580秒を記録した。


リッチモンド公爵の芝生を"刈る" パトリック・ワッツ。

しかし、彼が参加するのは第2予選だ。第1予選グループの練習走行では、著名なミニ使いであるイアン・カーリーが、このサーキットは初走行でありながら、ニック・パドモアのラップを僅差で下回るにとどまり、第一予選グループのトップを収めた。さらにイアン・カーリーからわずか0.442秒ほどの差でアストンマーティンのエースであるダレン・ターナーが、そしてドイツ・ツーリングカー選手権の優勝者であるトム・ブロンクビスト、クリス・ミドルハースト、ビル・ソリスらが続いた。

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo. ) Transcreation: Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:フルパッケージ Translation: Full Package Words: Richard Heseltine 

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